川柳1句「それでも」

玉雫 離れ難しと 縋りつく


 冷たい君の体を僕は強く抱きしめる。

 ささやかなきっかけから始まった衝突が終焉を迎える。

 言いたいこと言い合って、気持ちをぶちまけて、辿り着いた答えは……。


 絡みついて解けなくなった繋がりはくしゃくしゃにこんがらがってしまっていた。

 それを無理やり断とうとして傷つけあった日々の末、僕達は団子状に絡まった紅い糸を少しずつ手繰り寄せあう。それは「別れ」の為の儀式のつもりだった。


「ごめんね」と君は言う。

「こちらこそ」と僕は返す。

 零れた滴がゆっくりと頬を伝っていく。

 

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