短歌2首「歳末」

降る雪の 日に追われて 空に溶け

行き来る年の 惜しむ間もなし


 雪が太陽に追われて空に溶ける。

 日に追われて振り返る間もなく、記憶は儚く空に消えてしまう。

 消えゆく雪を掴めないのと同じように、年月の移ろいを惜しむ暇もない。

※「降る雪」は枕詞で「日(け)」にかかる。「行き」は雪にかかる。



白妙の 雪を散り敷く 道よぎり

郷の景色も 今は如何や


 白雪を散らした道路を歩いていると、ふと故郷の風景が頭をよぎる。

 今、この町に雪が降ったということは、雪国である我が故郷はどうなっていることだろう。

※「白妙の」は枕詞で「雪」にかかる。

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