短歌1首「ハロウィン」

ハロウィンの 仮装に隠した 秘め心

君だけに贈る 恋のいたずら


「その衣装、すごい似合っているよ!」

 あなたが弾けるような笑顔を私に向けてくれた。その事実が何よりも嬉しかった。普段だとまず言われることがないし、こうして視線を交わすこともなかったから。

 気持ちを押し殺して彼とパーティのひと時を過ごす。いつもと違う「私」になることで「私」は「私」を忘れられた。そうしないと彼と話すのもままならないのだ。

 ハロウィンの魔法にかかった私は少し大胆になれた。じっと目を見つめて話をすることもできるし、会話もすらすらできるし、冗談交じりに手や肩に触れることさえできた。漏れ出た本心をそんなささやかないたずらに乗せて君に贈る。

 かぼちゃのランタンからは煌煌と小さな灯が漏れていた。

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