短歌2首「孤月」
絡み合う 指、脚、視線、 唇に
心溶かされ 孤月満ち足り
空に浮かぶ弧月のように満たされぬ私の心を、あなたは巧みな愛撫と囁きを以て解きほぐす。
手先から脚にかけて焦らすように指を這わす。こそばゆさと心地よさに潤む私の瞳を慰撫するようにそっと見つめ返す。ゾクゾクと背筋と腰にもどかしさが奔り、自然と体が彼を求める。
「ふふ、可愛い」
微笑む彼の顔が少しずつ近付く。唇と唇が触れ合った瞬間、堰き止められていた快感が電撃となって全身を駆け巡る。ビクッと跳ねる私の体を抑え込み、彼は舌を口内に侵入させる。舌、上あご、歯の裏、うねうねと蠕動する柔らかい感触によって私の思考は溶け消える。断続的な絶頂が体を襲う。頭が真っ白になって体もどうなっているのかわからない。
唇が離れ、彼との間に淫靡な橋がたらりと繋がる。放心状態で思考もままならない私を彼は優しく抱擁する。そして、耳元で愛を囁く。
耳から入った甘い声は骨伝導のように全身にじんわりと温もりを与える。きゅんとしたときめきが切なさを呼び、もっと彼と、彼と一体になりたいという欲求を強くさせる。
そんな私の意思を感じ取ってか、彼は指を少しずつ下半身へと這わせていく。そこに触れた時、彼は「すごっ」と小声を漏らした。恥ずかしいと思う一方で、もっと欲望を曝け出したいという思いも滲み出る。それに呼応するように蜜がさらに溢れだす。
「行くよ?」
彼が私に侵入する。戻りつつあった意識が再び飛ばされる。見えているのは彼の顔、聞こえているのは彼の声、感じているのは彼の肌、無心に互いを求め、愛を深め合う。空虚な私の心を満たすように彼の心が注ぎ込まれていく。
深い深い心の奥底から発される絶頂――意識は闇をたゆたい、肉体は絶え間なく収縮と弛緩を繰り返す。
されど心身は望月の如く眩い充足感に満ちていた。
一服しに ベッドを離れた あなたには
私の甘えは もう届かない
窓辺に立って、あなたは煙草を吸う。闇に小さく浮かぶ火の光を、私はベッドに寝そべりながらぼんやりと眺める。彼の匂いとも言える苦い香りが狭い部屋の中を漂う。
裸の体にシーツを絡める。これはあなたの代わり。
終わってからも抱きしめてほしいと言えば、あなたは気まずい顔をするから。
近くにいるのに私の甘えは届かないから。
名残惜しいけど私にはこうして見つめることしかできなかった。
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