短歌2首「秋来たる」

夏過ぎて 秋来にけらし 紺セーラー

衣替えくる 駅の改札


 白の夏服から紺の装いが増えた駅の風景に季節の移り変わりを感じる。

「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山」

 かつて古文の授業で聞いた歌がふと頭に浮かぶ。

 自分もかつては彼女らのように青い春の中にいた。



逝く人の 喪に立ち尽くす 彼岸花

詩に賦すことの 無きを慰む


 君の喪を詩に賦すにも心にぽっかりと穴が空いたようで、何も言葉が出てこない。

 死に伏して何も発せず、思えず、ただただ落涙して袖を濡らすのみ。

 乾いた風が墓石の間を駆け抜けて彼岸花を揺らす。言葉を発せず、あるがままに死者に寄り添うその姿を、私はいつまでもいつまでも眺め続けていた。

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