第5話 自己紹介から始まる事件簿

やぁ。旅道徹だ。

ここまで読んでくれていてありがとう。

先程まで読んでもらったものは、僕達の最初の事件だ。

簡単に説明すると、とあるカップルを復縁させようとしたら失敗して、結局僕が悪者になる事で一旦は終わりを迎えた事件。

名付けるなら「SNSにはご用心」。

最初に誤解を解いておくが、この事件の当事者達には一切の恨みはない。その事件は時間が解決してくれたし、その後の生活に多少の影響は出たものの、別段気にしすぎるものではないのだ。だから物語上の登場人物だからと言って嫌いになったり非難はして欲しくない。僕の大切な友人だ。話を戻そう。

携帯というものを与えられ、SNSはあれほど危険だという指導をもらっていたのにも関わらず、高校生活始まってすぐ、SNSに殺されかけたのだ。

その事件で学んだ事は軽く記述したつもりだけど、これからこの「自己紹介から始まる旅道徹の事件簿」を読み進めていくにあたり今から話す前提条件を頭の片隅に置いておいてもらいたい。この世界のルールである。

・誰かの幸せは誰かの不幸の上に成り立っている。

この先またルールを追加していく予定だがとりあえず何より大事なルール。

つまり、誰かを助けたかったら誰かを不幸にしなければならないという狂った極論。そして暴論。このルールを高校1年生で身をもって知ることになるわけなのだけど、このルールが正しいのかはわからない。

そんなものをルールと呼んでいいかわからないけど。

このルールを信じてしまったせいで?おかげで?お話は進んでいく。そして壊れていく。

この物語は物が壊れていくお話。旅道徹本人が。そして本体が崩壊していくお話。

1人の自称天才が、世界の変なルールを追求していく過程で色々なものを文字通り吸収して、壊れていく。

壊れていく事自体はマイナスな事ではない。

このお話がマイナスがどうかはわからないけど。

君のよく知る天才が、どうやって生まれたか。ようやくここで知ることになるのだ。

楽しみだね。これで君はまた旅道徹に深入りしてしまう。取り込まれてしまう。

全てを吸収する彼の一部となってしまう。

旅道徹本体を知る覚悟はできたかい?

さて、そろそろ始めていこうか。


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