第15話 召喚者

医療棟に運ばれたジェミニはベットに寝かされエリーはメイド達に連れていかれた。一人残されたシャインはジェミニの寝かされている部屋を出て医療棟の中を見て回っていた。

 

 屋上に出ると柔らかな日差しが照り気持ちのいい風が吹いていた。

 

 シャインは持ってきていたあのロングソードを鞘から抜いた。戦闘の最中に消えたあの青いもやが溢れ出て青い刀身を覆った。シャインがそのロングソードをじっと見ていると不意に後ろから声をかけられた。

 

 「おぉ、あんたが噂の召喚者やな。噂になっとんで~。」


 そこにはいたのはゆるいウェーブのかかった茶髪のちょっと怪しそうな青年であった。見た感じの年齢は二十歳ぐらいだろう。

 

 「……だれ?」

 

 そう言ってシャインが身構えると怪しい青年は両手を上げ後ずさりながら少し訛りのある口調で言う。

 

 「おいおい、辞めてくれーな。俺、戦闘系はほぼ最低値なんやから。」

 

 そう言われシャインはロングソードを下ろした。

 

 青年は両手を下ろし自己紹介を始める。

 

 「俺は#東堂 隆__トウドウ タカシ__#言うねん。タカシって呼んでくれーな。で俺も召喚者や。こっちに召喚される前は日本で医者しとってこっち来てからもこの城で医者しとる。」

 

 シャインは素直に自己紹介をした。

 

 「ハヤト…シャイン……今使ってるんやったら俺もシャインって呼ばせてもらうわ~。……ほんでさ、さっきから気になっとってんけどあんたの手に持っとるそれどんなもんなん?結構な業物やろ?」

 

 タカシはシャインの持つロングソードを指さしながら聞く。

 

 「詳しい性能は分からないんだ。偶然手に入れたものだし、調べるにしろ今まで鑑定スキルを持ってる人がいなかったからな。」

 

 シャインがそう言うとタカシは不思議そうな顔をしながら言う。

 

 「え…?あんた召喚者ちゃうん?召喚者やったら鑑定スキルとか絶対みんな貰らえるって女神さん言うとったで。」

 

 「……まず女神なんて会ってないし鑑定スキルも持ってない。ほら。」

 

 そう言ってシャインはステータスバーを押し出てきた石版を見せる。

 

 「あー、ちゃうちゃう。それはこっちで貰った分の能力しか書いてないやん。ってほんまに知らんのか……?こうするんや。」

 

 そう言ってタカシはステータスオープンと言いながら胸の前で空を切った。するとタカシの前にアニメなんかでよく見るウィンドウが宙に浮いて現れた。

 

 シャインはそれに驚くとタカシが言う。

 

 「……ほんまになんも知らんねんな。……よし!女神さんに会いに行こ。そしたらなんか分かるやろ。」

 

 そう言ってタカシはシャインの返答も聞かず手を取り言った。

 

 「転移!神の部屋へ!」

 

 タカシがそう言うと2人の周りに沢山の小さな魔法陣が幾重にも重なりひしめき合い一斉にキラキラと光り始めシャインはその眩しさに目を瞑った。

 

 

 

 シャインが目を開けるとそこは見渡す限りの白い空間が広がっていた。そしてシャイン達の目の前には小高い丘が広がっておりその上に椅子に座る人物がいた。

 横に立っていたタカシがシャインの背中を軽く押しながらその玉座に向かい丘を登り始めた。

シャイン達が玉座に近づくと座っていた人物が立ち上がる。

 

 それは背の高い白い長髪の女性であった。

 

 

 

 



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