第29話
「だから、私たちは賞誇会に入っているの。人生を人生たらしめるために。毎日を有意義にするために。表向きは日本の救済が目的だけど、そんな胡散臭い文句に辟易していた私を、ちょうど今みたいに、白鷺会長は救ってくれた。人生を人生たらしめるチャンスをくれた。だから、私たちは――」
明鏡止水の湖に、石を投げ入れたい。
足跡一つない雪原を、踏み荒らしたい。
何一つ変わらない日常に、不意打ちを与えたい。
そうやって、私たちは初めて「生きる」。
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