第20話

「櫻井くん入信したんだって?」

「……何で知ってるの?」

「坂巻くんが言ってた」

 そりゃ口止めはしていなかったけれども。

 三限の必修ではほとんどのクラスメートがその事実を知っていた。調子に乗って、持ってきた小冊子と数珠を使って礼拝の真似事というパフォーマンスも披露してみたのだが、本気で気味悪がられてしまった。ちょっとショック。

 ちなみに先ほど僕に声をかけてきた人は砂原さんという。僕と同じ群馬県出身だ。毎日新幹線で実家から通ってきているという豪傑である。

「大丈夫だって。住所も電話番号も嘘のものを書いておいたし、お金も取られてないって」

 僕はあと何回同じような説明をせねばならないのだろう。

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