第19話

 翌日、月曜日。

「何ということだ……」

 目覚まし時計のアラームをセットし忘れていた。予定より一時間も遅い起床。仕方がないので朝食を抜いて、簡単に身支度を済ませて家を出た。

 ……のだが、どういうわけか、朝食を抜いたら抜いたでいつもより早く大学についてしまった。かといってコンビニで朝食を済ませるほどの時間的余裕もない。ちょうど今日の一限はテストだったので、その勉強でもしようと共有スペースで教科書でも眺めることにした。

「びっくりしたよ、LINE見たらいきなり警察って書いてあって」

「あ、おはよ」

 五分ほど経っただろうか、不意に隣の席の椅子を引きながら現れた男は挨拶も忘れて、そんなことを言った。将棋を知る友人もとい、坂巻だ。月曜日の一限、必修の英語は同じクラスである。

「入信申請書? みたいなの書かされたりみんなでお経唱えたり楽しかったぜ? まあ申請書にはほとんど嘘しか書いてないけど。なんか再来週の木曜日に市ヶ谷駅に来るらしいけど、別にもう会うつもりもないし」

 待ちぼうけを食らう加藤と丸山の滑稽な姿を安全な場所から眺めようかなとは思ってるけどね、とは言わなかった。

「まあいい体験をさせてもらったってことで」

 その後二人で教室まで行き、テストを受けた。テストは簡単だと説明を受けていたはずなのだが、二人とも六十パーセントほどしか点数を取ることができなかった。

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