第3話

『エロゲ仲間ができた』

 秋葉原で会った男とのトーク画面をスクリーンショットして、古くからの友人、加藤と話す。別に彼はアダルトゲームに精通しているわけではないが、度々そういった話に付き合ってくれていた。これで秋葉原で会った男と良好な友人関係を築けたなら、少しは加藤の負担も減るだろうと見越しての連絡だった。

『名前なんて読むの?』

 男の名前は、「加藤三敬」とあった。

『分からん。これは名字で呼ぶしかないな』

『おいちょっと待て』

 くしくも男の名字は友人と同じだった。

『憲法十七条にさ、あつく三宝を敬えってなかった?』

『あった』

『仏教の人なんかな?』

『いや普通に人の名前でしょ、三男なんだろ』

『あ~なるほど』

 結局彼の名前の読み方が判明するのは一ヶ月以上後のことになるのだが、別に僕は彼の名前の読み方で困ったりといったようなことは何もなかった。

 名前というのは、心からの友人になって、初めて呼びあうものだから。

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