小学生の頃

その7

小学2年にあがって少し経ったころのことだった。



家族3人でお墓参りに行くことになった。


おねーちゃんはおるすばん。お家に変なゆーれいが入らないように、おばーちゃんと見張ってるって。


でも家を出るときに散々注意された。墓地には悪霊がいっぱいいるから親のそばを離れないこと!!って。


おねーちゃん心配性だなぁ。




パパの車で行った。渋滞に何度か引っ掛かったのと、家からかなり遠かったのもあって着いたのは夕方だった。


「パパ、お墓には悪いゆーれいいっぱいいるってホント?あそこにいるのもあっちのも、あのひとも?」


「全員が悪い幽霊じゃないよ。ほら、黒いオーラが見えるだろ?ああいうのには近づくなよ。悪霊だから」


「はーい」



お墓に水をかけてキレイにしたり、手を合わせたり……でも周りにいっぱいゆーれいがいるから気が散った。


そっちばかり気にしてたからそこらへんはほとんど覚えてない。


けどその後のことは今でもハッキリ覚えてる。



「じゃあ帰るか。もう暗いし」


「待って!トイレ行きたい!」


「私も!」


「じゃあ入り口の前で待ってるから、なんかあったら言えよ」


「わかった!ママ行こ!」



もう今は夜。


墓地の近くのトイレは真っ暗。少し怖い。


けど漏れそう。もう我慢できない。


私は入り口入ってすぐ近くのトイレに、ママはその隣に入った。



ふぃー、あぶなかった。あと少し我慢してたらやばかった。



用を足して、ズボンとパンツを上に上げようとした。



けど体が動かなかった。


声も出ない。



え……これって金縛り!?ママは大丈夫なの!?


ママの声も聞こえない。トイレの水が流れる音もしない。


ママも私も金縛りにあった。



どうしよう、どうしよう。


いつもおねーちゃんとおばーちゃんが助けてくれるけど、今はいない。



パパ気付いて!助けて!



「おい大丈夫か!?」


よかった。気付いてくれた。



そのとき体が動けるようになった。金縛りが解けたんだ!



慌てて出ようとした瞬間、上からぽたぽたと何かが落ちてきた。



血だ。



「ふふふ……ふふふふふ……ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」



ばっと見上げたらおねーちゃんよりもずーっと髪の長い女の人が天井に張り付いて笑ってた。



「きゃああああ!!!」



無我夢中でトイレを飛び出した。



ママも金縛りが解けて一目散にパパに抱き付いた。二人してわんわん泣いた。


すっごい怖かった……



こんなに怖い体験したのは初めてだった。

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過去話。 深園 彩月 @LOVE69

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