第7話

「龍之介ー!なんで置いてっちまうんだよー!オレ寂しかったじゃねーか!」


 ドアを開けて入ってきた男子は、そのまま龍之介くんに抱きついた。


「お前がうるさいからだよ。まったく、兄貴といいお前といい過保護なんだから…。」

「過保護じゃねーよ!いっつもいろんな人に笑顔振りまいてる鈍感で純粋な龍之介が心配なだけだっつーの!…ってか、こいつらは?」


 彼は龍之介くんに抱きついたまま、こちらを睨みながら話している。


「えと…西条淳です。斜め後ろにいるのが双子の弟の西条星です。よろしくお願いします!」

「…室井幸一。龍之介の幼馴染。龍之介にあんま近寄んな。」

「コウ!」


 …いつもはシゲやのんちゃんが言ったのを訂正する側だったから、申し訳ないって気持ちでいっぱいだったけど、いざ面と向かって言われるとかなり悲しいね。

 幸一くんから言われたことになんて返したらいいかわからず、少しどもっていると、後ろで何やらヒソヒソ話す声がした。声の主は僕たちの幼馴染だった。2人はヒソヒソ話しを止めると、幸一くんの方に向き合って自己紹介した。


「俺は重本大。よろしくな。」

「僕は小柴望夢。よろしくお願いします。んで、幸一くん、ちょっと…」

「あんだよ、なんか文句か?」

「そうではなくて…」


 幸一くんは「しゃーねーな。」とか言いながらも、そっちに歩み寄った。そして3人で輪になるように並び、またヒソヒソと話し始めた。


「何話してるんだろ…?」

「ま、俺たち関連のことっていうのは、確かなんじゃない?」

「2人とも、コウが変なこと言ってごめん!俺は2人と仲良くなりたいと思ってるから…」

「もちろん!僕たちは大丈夫だよ。」

「俺たちも仲良くなりたいしな!」


 すると、ヒソヒソ話し合いが終わったのか、3人がこちらを一斉に振り返った。あれ、さっきまでこちらを睨んでた幸一くんがめっちゃニコニコしてる。


「…淳と星っつったか?さっきは悪かった。生意気なこと言って。」

「へ…?」


 突然謝られたのに驚いて、間抜けな声が出てしまった。そんな僕の代わりに星が応答する。


「大丈夫。ところで、何話してたの?」

「星くん、世の中には知らないほうがいいこともあるのですよ?」


 そののんちゃんの呟きに、少しゾッとした。それは星も龍之介くんも同じようだった。


「あ、俺のことは幸一でいいからな?」

「俺のことは龍って呼んで!」

「わかった。僕は淳でいい。」

「俺は星とか、他にあだ名つけてもらっても構わないよ。」

「俺はダイがいいかな!」

「僕はコッシーあたりにでもしておきましょう。」


 ここから、僕たちの賑やかな学校生活が始まった。


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