第4話
2人で玄関の方に行くと、遅かったのか少し拗ねているお兄達が。
「やっと来た!淳、何してたの?」
「星のネクタイ結ぶの手伝ってただけだよ。それより、お客さん来たから開けないと。」
「ふんっ、どうせまたあいつらだから、開ける必要はないと思うけどね。」
「たか兄そんな事言わないの〜。あと、力強すぎてちょっと苦しいな。」
星はたか兄からバックハグされているが、その腕の中から自分を解放するように逃げ出した。
あいつらというのは、さっき言ったように、僕たちの幼馴染のことだ。お兄達は幼馴染達の事を毛嫌いしている。何故かと言うと…
「おっはよー!はぁぁぁっ!淳ちゃんの制服姿マジ可愛い‼︎写真、写真…。」
「おはようございます、星くん。今日も一段と可愛らしくて麗しいですね。」
この2人も僕たちのことを溺愛していて、自分で言うのもなんだが、お兄たちと幼馴染たちは僕たちを巡って争っている。
あき兄の宿敵(?)は重本大。通称シゲorダイ。僕の写真をとるのが好きらしく、いつもカメラを構えている 。ただ、僕のことを「淳ちゃん」と呼ぶのはやめてほしい。時々僕のことを女子だと思う人がいるからだ。でも、本人は「俺にとって淳ち ゃんは女子も同然だから、このままでいいの!」と言っているから、当分は直してくれないだろう。
たか兄の宿敵(?)は、誰に対しても敬語で話す小柴望夢。通称コッシーorのんちゃん。「愛してる」など、照れるようなセリフを、こいつはいつも星に普通に言っている。まあ星もそれを綺麗に受け流しているのだが、それでも全然めげない、ある意味最強のハートを持った人物なのである。
争いあってるお兄たちと幼馴染たちが会うと、いつもこんな感じになってしまう。
「ゴラァ!誰の許可得て淳の写真撮ってんだ!」
「ご心配なく〜。後で俺の“淳ちゃんフォルダ”に保存するだけですから!おにいさん♡」
「誰がおにいさんだバーカ!淳は誰にも嫁に出さねーよ!」
あき兄とシゲは喧嘩を始める。あき兄、僕は旦那さんになるんです、お嫁さんではありません。
「いくら礼儀正しい望夢くんでも、うちの星はあげられないなぁ、」
「ご心配なく、僕には星くんをお嫁さんとしてもらう未来が見えていますから。」
「ふぅ〜ん…。」
あき兄&シゲと比べると、まだ仲のいい方であるたか兄とのんちゃん。だけど、ここも両者無言で睨み合い、バチバチと火花が飛んでいる。
「なぁ、早く行こう。このままだと入学式遅刻しちゃうよ。」
いつもはどこか抜けている星が、珍しくみんなに注意を促した。
「え、もうそんな時間か!じゃ、行くよ!」
そう言ってシゲは、俺の手首を掴んで走り始めた。それに合わせてのんちゃんも星の手を握って走り出す。それを後ろからお兄たちが追いかけてくる。この分だと、入学式早々遅刻はせずに済みそうだ。
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