第3話

「おっはよー!はぁぁ、今日も淳は天使だなぁ!」

「おはよう、星。ふふっ…寝癖ついてる、可愛い。お兄ちゃんが直してあげるからこっちおいで?」


 そう、お兄達は重度のブラコンなのだ。ちなみに、よく僕を溺愛しているのが最初に話していた長男の西条照仁、通称あき兄。高校2年生。体がでかくて、運動神経バツグンで力が強いから熊みたい。でも、中身は料理上手で優しいから女子みたいでもある。僕のことになると周りが見えなくなるのが玉に瑕。


 よく星のことを溺愛しているのが次に話した次男の西条崇彦、通称たか兄。高校2年生。あき兄と違って体は細くてしなやか。でも運動神経が悪いわけじゃなくて、僕の3倍は体育祭で活躍できる(僕は運動能力が皆無なのだ)。性格も物静かで穏やか、頭が良くてよく勉強を教えてくれる。ただ、星の事になると過保護になり過ぎるので、星は少し鬱陶しがっている。


 僕たちが今日から通う高校も、お兄達が通ってる私立の男子校である。これはあき兄いわく「うるさい女子どもを天使のように可愛い淳と星に近づけなくて済むでしょ?」という事らしい。ただ、たか兄は「こんだけ可愛い星と淳が通うんだ、変態野郎どもに襲われないか心配だな。」と謎の心配をしていた。お兄達には周りの人がどんな風に見えてるんだろうか?


「あき兄お腹空いた。今日の朝ご飯は?」

「今日は淳の大好きなフレンチトーストでーす!はい、あーん…」

「ちょ、自分で食べれるから!」

「ほら、星。口に生クリームついてるよ。」

「ん?ふぉこ?」

「口に物入れたまま喋らない。ま、可愛いから許すけど。…はい、取れた」

「ありがと。」


 我が家の朝は毎日こんな感じである。これでも、まだ静かな方だ。ここに幼馴染が加わると、倍うるさくなる。

 朝ご飯を食べ終え高校の制服に袖を通して鏡の前に立つと、着せられている感がすごかった。たしかに僕は星に比べたら体は小さいし、顔は中性的で童顔だし、脚や腕もたか兄より細い。でもここまでだと悲しくなってくる。


「淳ー、ネクタイってどう結ぶんだっけ?」


 ドアを開け入ってきた星は誰が見てもイケメンで、最近グングン身長が伸びているため、スラっとした手足に制服がよく似合う。欠点をあげるとすれば、昨日の夜教えて出来ていたはずのネクタイの結び方をもう忘れているといったところだろう。


「昨日出来てたじゃんか。…はい、これでOK!」

「ありがと、玄関でお兄達が待ってる。写真撮りたいんだって。騒ぎ出す前に早く行こ!」


 星がそう言った途端、ピンポーンと来客を知らせるチャイムが鳴った。ここで僕たちは、彼らを招き入れなかった方が良かったのかもしれない。


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