『自己愛』
千代音(斑目炉ヰ)
二人は双つ
自己愛、
そんな言葉で片付けないで。
ナルシシズム、
僕は確立しているよ。
僕は僕で在れど、僕じゃない。
身体は一つ、精神は二つ在する。
感覚、意識、共有は可能。
然し、自我が歪む事から余り持続は出来ない為……
普段、僕は眠りにつく。
君は慎重真面目な性格で、己に落ち度が無ければ基本的に細かい事は気にしない。
繊細故に、傷が付けば。
修復するのに時間が掛かる。
でも僕は、もっと大胆だ。
己の欲求に忠実、素直な行動。
他人の心情なんて関係無い。
己が良ければ総じて良し。
なんてったって欲求不満。
満たされる事の無い不服感。
嗚呼、僕は一体どうすれば。
君の中、奥深く眠っていては到底不可。
表に出て行けばきっと楽しいのだろう。
然し、どんなに素直だからと言って馬鹿じゃないよ。
僕が表に顔を出せば、忽ち君に傷がつく。
故に、其れはいけない。
僕は君の事が大好きだ、愛している。
自己愛、又異なる。
僕は僕で確立していて単なるナルシシズムでは無い。
僕と君は一つは二人、二人は一つでは無い。
一つは二人、二人は双つだ。
そう、僕の愛は確固たる真実。
美しい、曖昧な境界線なんて何処にも存在しないさ。
恋とは儚げに、揺蕩う虚ろ。
嗚呼、嗚呼!
もどかしさが募る日々……
君は至って気付かないのだから。
他人にはその素晴らしい程完璧な微笑みを魅せる。
自然に身を任せ、明るく柔らかに時を尽くす。
けれど、興奮してしまえば取り乱す心情。
行いは、関係の無い事に成る。
周囲は其れを二面相と呼び指して居るらしいけど。
二面相と言うのは曖昧な心理論。
一時的な人格(個性を持たない)が表に出てしまう事項。
だから、性格が180度変われど乱しているだけで有り己自身を示す。
……興奮しない限り初心を忘れず乱れはしない。
周りさえ差し支えなければ穏やかに過ごせる。
『留まらない魅力。
計算高く、紳士的振る舞い。
其の身のこなし、軽やか。
選択センスは的確、文句ナシ。
外見も素敵さ。
透き通る肌、表情豊か。
少し垂れる目元は凛を秘める。
深く妖艶な紫の瞳。
鼻が高く何処か日本人離れの美形。
椿香る細い艶髪、横顔も柄になる。
程よく着いた筋肉骨張る細い腕脚。
背丈、総てバランス良く整っている身体。
首筋は誘惑せずとも惚れ惚れる。』
君は本当に素晴らしい。
之は僕が身体を使用しても感じることは出来ない。
君だから、引き立ち。
君だから、可能性を産む。
僕は君を知り尽くしているのだ。
唯、悲しいと云えば、
君が僕を知ろうとしない。
どんなに願っても、僕に笑みを魅せることは無い。
時は有限、君も有機実態。
僕は故に無機質、闇の静寂の最中生息する。
確立云えど、君は暖色、僕は寒色。
弁えている君が産んだのだから。
母胎に恋愛感情を抱く。
僕は狂ってしまいそうだ。
性別の概念、僕には存在しない。
ならば常識さえも存在する意味皆無。
されど、君にはどちらも有り。
摂理に活きる。
なんて苦しいの、罪では無かろうか。
君は僕の心をこんなにも侵す。
君、存在が罪なのだ。
寒色故に薄く消されてしまう僕だけど、濃度を上げてしまえば問題無いのだろうか。
……罪であれば制裁しなければ成らないね。
君は非道を嫌う、僕も同じさ。
ならば、染めよう。
漆黒に。
『自己愛』 千代音(斑目炉ヰ) @zero-toiwaku
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