第2話 高校

 あたしは勉強は嫌いじゃなかった。だから、高校には進みたかった。出席日数もヤバくならないように、頑張って保健室登校した。結果、第一志望校への進学が叶った。

 想定外だったのは、そこへ樋口くんもやってきたこと。確かに彼だって、勉強はできた。だけどだからって、数ある学校の中から一つ、選んだものがかぶるってどういうこと? あたしはちょっと怖かった。入学式の日、クラスが一緒になっていないことを確認すると、ちょっとホッとしたもの。

 だけど彼は、放課後になると毎日のように、あたしの教室へやってきた。

 ウチの高校は部活動への参加は任意だった。あたしは当然、帰宅部。だけど家には帰らないで、残って勉強していくことが殆どだった。わからないことがあったら、職員室で先生にすぐきけるから。

 彼は中学の時、運動部で活躍していたはずだった。正確に何部だったかは、よく知らないけど。だから当然、高校でも何がしかに入部するだろうと踏んでいた。なのに、彼も、帰宅部。そして、家へ帰らずに、あたしの席の前の机をあたし側へと引っくり返して、あたしと向き合って宿題をする。

 高校に上がってからそんなこと毎日やろうもんなら、当然男女の仲の噂は流れる。

だけど彼の答えは、いつもこう。

「え? 上野とボク? 付き合ってないよ?」

 うん。そりゃそうだ。間違ってない。

 だけどあたしは、なんだか釈然としなかった。

 じゃあなんで、貴方はあたしと一緒にいるの?

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