第12話 救出作戦

ー刑事塔 入口前ー


カムラ「ここが、刑事塔の入口だ」


メイサ「正面から行くしかないわね」


ウム「行くぞ、変装魔法」


ウム達は、刑事塔の役人に変装した。


門番「要件は?」


ウム「皇太子様と皇女様が、刑事塔の見回りをしたいと」


マリ「命令で来ました」


ハマ「入ってもいいですか?」


門番「皇族方と罪人を合わせるつもりか?」


カムラ「皇太子として、帝国の機関を見るのは当然のことだろう。それともそなたは、この国の皇族の言うことが聞けぬか?」


メイサ「役人としてあるまじき行為ですこと」


門番「……わかりました。どうぞお入りください」


ウム「皇太子様、皇女様こちらへ」


マリ「私とハマは、レイラとイムを探しにいってきます」


カムラ「俺も行こう」


ハマ「皇女様とウム様は、取り調べ室をお願いいたします」


メイサ「わかったわ、行くわよ」


ウム「はい、皇女様」


ー牢屋ー


マリ「えっと、名簿によるとこのあたり……」


ハマ「いつのまに、名簿を……」


マリ「牢屋の役人から貰った」


ハマ「簡単に貰えたな……」


役人を口説いたことが恥ずかしくて、マリはハマに名簿が貰えた理由を言えなかった。


マリ「そんなことはどうでもいいから、早くレイラとイムを探すよ」


ハマ「1階の1番奥だっけ?」


マリ「どれだけ、広いのよ。魔法使ってワープしたい」


ハマ「牢屋では、魔法使えないからな……」


マリ「魔法使えたら、レイラとイムはすぐに救出できるのに」


ハマ「魔法吸収されていないといいけどな」


マリ「まさか、魔法吸収は裁判が終わってからじゃないと……」


ハマ「皇太子妃のレイラは裁判にかけられるけど、執事のイムは収容された時点で罪人だからな」


マリ「クロナ家の執事よ」


ハマ「左大臣一家からしたら、邪魔者一家の執事だからな。生きているといいな」


マリ「そんなこと言わないの、レイラとイムは生きているんだから」


ハマ「救出するためにも、早く探さないとな」


マリ「そうね」


謎の声「……奴……れ……いはやだ」


マリ「今声しなかたった?」


マリは震え声でいった。


ハマ「収容されている人の声か、幽霊だろ」


マリ「幽霊ってそんな怖いこと」


ハマ「この国の拷問はきついらしいからな」


マリ「ハマ、黙ってよ」


ハマ「悪い、そろそろだけど?」


マリ「声が近くなってる……」


マリは足から何か掴まれた感覚がした。


ハマ「どうした?」


マリ「なんか、そこから掴まれた……」


ハマ「そんな訳……」


ハマは、マリに指された方向を見ると、意識が朦朧としているイムがいた。


イム「ハマと…マリ……。」


マリ「私は、何もしていません。友人を助けに……」


ハマ「大丈夫か?イム?しっかりしろ」


マリ「……イム?」


イム「俺は……大丈夫、でもレイラ様が」


ハマ「大丈夫じゃないだろ?ここから出してやる」


マリ「鍵も貰ってきたから」


イム「レイラ様が……拷問……されて……処……」


ハマ「処刑場?」


マリ「嘘でしょ?」


ハマ「詳しい話はイムが回復してからだ」


マリ「でも待っているとレイラが」


ハマ「牢屋出て、皇女様とウムさん、クロナ家に伝えよう」


マリ「わかった」


イムを牢屋から出し、ハマとマリはファナリス学院に向かった。


ーファナリス学院 保健室ー


ライ「イムを救ってくださり、ありがとうございました。」


ハマ「拷問でかなり、ダメージが」


ライ「発作が起きないように、レイラ様が魔法を使用されていたのでしょう」


マリ「レイラが?」


ライ「牢屋の様子が、タムに伝わり、レイラ様は、皇族法ならびに帝法の違反で、処刑……」


マリ「レイラは、使用人のことを大切にしているから……」


ライ「クロナ家の皆さんは優しいのです。その優しさを利用して、タムはレイラ様を……」


レイ「イムはどうだ?」


レイがやって来た。


ライ「外傷が酷く、また発作の形跡がありますが、レイラ様のおかげでしばらく休めば良くなります」


レイ「そうか」


マリ「ただ、皇太子妃様が」


レイ「レイラがどうした?」


ハマ「身分剥奪、魔力剥奪、そして処刑されるそうです」


レイ「場所は?」


ライ「非公開で行われるため、場所は明かされていません。」


レイ「刑事塔内のどこかだな?」


ライ「おそらく」


イム「ファナリス帝国の離島です」


レイ「イム、大丈夫なのか?」


イム「ご心配おかけして、申し訳ございません。身分剥奪、ならびに魔力剥奪は済まされ、今日は流刑、そして処刑が執行される予定です」


マリ「裁判は?」


イム「皇族ならびに、貴族の身分が剥奪されましたので、」


ハマ「時間の猶予がない……」


レイ「タム、左大臣一家許さない。これよりクロナ家は左大臣一家に対戦を申し込む」


タムラ「それは無理だね」


ライ「タムラ……」


レイ「来るな」


タムラ「本人からの自白、証拠もある、何より刑事塔で覚醒魔法を使ったそうじゃないか、そんな罪人、クロナ家から外したほうがいいだろ?」


レイ「お前」


タムラ「クロナ家の未来を心配してるんだよ?俺は、まあ父上や妹と違ってクロナ家にそれほど恨みはないし」


レイ「何がいいたい?」


タムラ「これ以上、父上と妹を怒らせると、取り返しのつかないことになる」


レイ「レイラは何も……」


タムラ「証拠も曖昧、自白はタムの強行によるもの、魔力剥奪により意思疎通ができない。」


レイ「お前、レイラに何をした?」


タムラ「僕は何もしてないよ、刑事塔はタムが管理してるからね」


イム「刑事塔の管理は役人の仕事なのでは?」


タムラ「罪人君が、逃げてきたとは」


レイ「レイラもイムも罪人ではない、左大臣一家に嵌められただけだ」


タムラ「まあ、ただのお嬢様と執事っていう関係だったんでしょ」


マリ「だったら、レイラを返しなさい」


タムラ「返してもいいけど、魔力も会話もできない平民いる?」


ライ「皇太子妃様に向かって、その言い方失礼だぞ」


タムラ「身分剥奪されたから、ただの平民」


レイ「タムの指示で好き勝手にはさせん」


タムラ「ただの執事を守るために罪を認めたからね、そこの執事、見つかったら大変なことになるよ」


レイ「何が言いたい?」


タムラ「今すぐ、この国を出ろ。」


刑事塔は、タムが占領、政治は倒れた皇帝の変わりに左大臣がしているため、レイラが処刑され次第、クロナ家を取り押さえる。生きるために国を出る必要があることをレイはタムに言われた。


レイ「わかった、父上と母上、使用人は伝える」


タムラ「お前は?」


レイ「妹を取り返す」


タムラ「良きライバルとして言う、お前も出ろ」


レイ「妹が辛い思いしてるのに、出れるか」


ライ「私も残りますよ。主様に付いていきます」


イム「お嬢様にお救いいただいた命、今度はお返しを」


マリ「まずは、皇女様とウムさんの帰りを待たないと」


ハマ「そうだな」


タムラ「……じゃ俺は帰る」


レイ「忠告ありがとう」


タムラ「別に、父上様と妹のやり方が気に入らなかっただけだ」


タムラは、屋敷に帰っていった。



ー刑事塔 地下牢 ー


ここは、処刑街ちの罪人が収容される牢屋。


タム「2つの刑が執行されたから後は処刑ね」


役人「タム様、やり過ぎなのでは?」


タム「執行するのは私よ、あなたには関係ないわ」


役人「ですが」


タム「それとも、あなたもこの罪人のようになりたい?」


役人「いえ」


タム「だったら私の言うことを……」


メイサ「何をしてるの?」


タム「皇女様、これは……」


ウム「罪もない皇族を処刑とは、左大臣様の娘とは言え、謀反です」


タム「この罪人は、皇太子様を裏切った。処刑は妥当な判断よ」


カムラ「裏切ったのかは私が決める」


タム「皇太子様……」


メイサ「鍵を貸せ」


タム「鍵なんて、ありません」


メイサ「なら、そこの役人、鍵を貸せ」


役人「はい、皇女様」


メイサ「皇太子様、中へ」


カムラは、眠っているレイラを抱きかかえた。


カムラ「すまない、レイラ。私のせいで……」


メイサ「タムを連れて行け」


役人「はい、皇女様」


タムは、連行された。


タム「私は悪くない、ただ私は……皇太子妃の座が……」


メイサ「医療機関に連絡、皇太子妃の部屋に来るように伝えよ」


役人「かしこまいりました」


カムラ「俺が部屋に連れていきます。姉上」


メイサ「わかりました、私はレイラの無罪を刑事塔に伝えてきます。ウムはクロナ家に連絡を」


ウム「かしこまいりました」


ー宮廷 皇太子妃の部屋ー


レイラの無罪が認められ、身分と魔力はレイラに返還された。しかし、取り調べや拷問による後遺症で、レイラの意識はしばらく戻らないことが医師から伝えられた。


カムラ「ごめんよ。レイラ。」


イム「皇太子様、この件につきましては私の不手際です。」


カムラ「イムは悪くない、左大臣一家の陰謀を阻止出来なかった私が悪い」


レイ「兄として、失格だ」


メイサ「傷がひどいわね」


カムラ「タムの仕業だろ」


レイ「タムはどうなった?」


メイサ「身分剥奪でしょうね。」


イム「禁じられている魔力剥奪をしたんですから、生きているだけ奇跡ですよ。」


ライ「口を慎みなさい、イム」


イム「申し訳ございません」


理事長「レイとイムの復学手続きが終わったわ」


レイ「ありがとうございます」


イム「お手数おかけして……」


理事長「レイラはどう?」


ライ「魔力剥奪ならびに取り調べの後遺症が激しく、いつ目覚めるか分からないそうです」


理事長「そう……」


イム「申し訳ございません、皇太子妃様をお守りできずに」


理事長「イムは悪くないわ、私も皇太子妃様と呼ばないとね」


レイ「レイラで慣れてますから」


カムラ「レイラも昔の呼び方のほうが慣れてますよ」


理事長「そうですか、なら今まで通り、レイラって呼ぼうかしら」


レイ「公共の場では、皇太子妃様でお願いしますよ、母上」


理事長「わかってるわよ」


レイラ「辞めて、魔力だけは……」


レイラが魘されていた。


イム「悪夢の術まで掛けていたとは、魔力解除」


イムはレイラに掛けられていた魔法をすべて解いた。


レイラ「……イム?」


イム「皇太子妃様、お目覚めで」


レイラ「体は大丈夫?」


イム「はい、お陰様で元気です」


医師「皇太子妃様、違和感はございませんか?」


レイラ「体が動かない」


医師「傷が原因かと考えられます、治り次第動きます」


レイラ「そう」


医師「私は、両陛下に現状を報告するため、陛下の部屋に参ります。何かありましたらご相談ください」


イム「わかりました」


医師は去っていった。


イム「皇太子妃様、魔力のほどは?」


レイラの魔力回復はイムが担当している


レイラ「おかけで、大丈夫よ。ありがと、イム」


イム「執事として、当たり前のことをしたまで」


理事長「レイラの復学は体調が良くなっならにするわ」


カムラ「待ってるからな、レイラ」


ライ「皇太子妃様が戻られるまでは、レイ様がファナリスとして……」


レイ「俺は、聖ファナリスだから、ファナリスは他の人が……」


イム「詳細は、生徒会で話しましょうか」


レイ「そうだな」










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