百合の花束をあなたに

百合はうちの母が好きな花です。

私はあまり好きではなかったのですが

母の誕生日に百合の花束を贈ったことから興味を持ち、好きになりました。

私が好きなのはオリエンタルリリーです。

カサブランカなど、大振りの芳香するものです。

テッポウユリというのもあって

これは小振りで香りはしないようですが、色が豊富で飾りやすい品種です。


オリエンタルリリーは大きいので

花器を選びますし、花粉がやっかいです。

しかし、それも厭わないほどの美しさと香りに、ヤられてしまう訳であります。

香りの強さはピカ一ですね。

芍薬より強いです。

品種にも寄るかもしれませんが

最初はちょっと鼻につく香りだなと感じて

それであまり好きではなかったのですが

慣れてくると、甘さのほうが際立ってきて

芳い香りに感じるようになりました。


そしてこの花も、夜開きます。

尖った蕾の先端に、ぷつっと切れ目が入ると

花びらがクルっとカールして、するするするっと開きます。

花粉はまだ粉っぽくなっていないので

今のうちに摘み取ってしまいます。

もう、クラクラするくらいの香りですよ。

悩殺されるってこんな感じかしら。

高価な花ですが、1本に多いと7輪くらい花がついているので

迷った時は、百合一本買っておけば間違いない感じです。


前回のバラの回でお話した祖母の娘が母になります。

祖母は母が介護しているのですが

見ていると、葛藤というか

認知症である母親を受け入れられない娘というのが垣間見られて、なんとも言えないです。

祖母の様子がおかしいことは、私は随分前から気づいていましたが、母が確認したのはずっと後で、あまりに認識がズレていたので驚きました。

しっかり者だった祖母が分からなくなっていくのを、認めたくない気持ち。

母も、娘なのだと初めて感じました。


これは祖母からの最後のメッセージなのかもしれません。

老いるということ。

人の最後の時。

身をもって教えてくれているのだと思います。

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