第4話 2か月前 ~やはり目を引く美形二人~

「ねぇ、あの二人ヤバくない?」

「やばいやばい! 超かっこいい」


 あぁ、やっぱ目を引くなぁ。と、街を歩いてそう思った。

 どこかの貴族の王子様なんじゃないかとも思えそうなハイティーンの美少年。 そしてそんな彼を常に守ろうとする動きを見せる、美形の青年。

 それが今、俺が率いている二人への感想。


「凄い二人ともスタイルいいし! あ、今こっち見た!」


 背が高いから、ヒョロリと線を細くも見える。確かにいま、どこかで聞こえたスタイルがいいというのは当たりだ。

 二人が実は、いい筋肉にくづきをしているのを俺は知っていたから。


 変な意味はない。

 単純に彼らが俺の部屋に来たばかりのころ、シャワーの出し方が分からず戸惑っていた素っ裸の彼らに、俺はレクチャーしただけだから。


「ていうか、あの人たち連れてるあのフツメン何? 友達?」

「ないない! 絶対にそれは無いって!」


 うん、もうこの言われ方にも慣れたものだ。

 俺の部屋に来て一月。ずっと軟禁するように家に篭らせるのは良くないと、少し前から俺は、こうして週末だけでも三人で、外に繰り出すようにしていた。


「もしかしてマネージャーとか。二人とも絶対どこかのモデルだって」


 最初は、結構心に来た。

 遠巻きに俺たちを見る異性達の正直すぎる発言に、まるで溺れるかのような息苦しささえ覚えた俺は、しかし今となっては苦笑いをするくらいにまでは慣れた。


 しょうがないじゃないか。胴長短足、容姿は可も無く不可もなくといわれ続けてきた俺。

 ヴィルヘルムと比べれば背の低いリヒャルトだって、その歳にしては俺の背丈に迫りそうだ。

 きっと俺の年にまで行けば、余裕で俺の背を越すに違いない。


 頭がいい。身長も高く顔もいい。

 そりゃ、苦笑するしかないよ。対抗するだけ無駄だもの。


「ねーねー、芸能人って言うよりもさ。アレに似てない?」

「あ! それウチも思った。あの作品の、超似てるよね!? ヴァル……」

「ッツ! 少し、急ごうかリヒャルト君!」


「え? な、なんだいきなり孝之!?」


 だが、その手の話・・・・・が出てくるなら別だった。

 リヒャルトの手を掴んだ俺は、そのまま強引にその場を後にした。


 彼は戸惑いを俺に向けてきているが、今はそんなことを気にしてはいられない。

 足早に歩きながら、なんとなく気配でヴィルヘルムがついてくる事を感じ取る。


 実は結構、外に繰り出したとき、こういったことはあったものだった。 

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