第14話 じつは口下手だった韓非子

 春秋戦国の諸子百家の時代、論客に必要なものはやはり口の上手さです。


 自分の説を諸侯に納得させなければならないので当然です。


 ところで韓非子かんびしですが(韓非子については前回の記事参照)、口下手だったといわれています。


 吃音があったためだと伝えられていますが、そのかわり文章は見事なので、文章によって諸侯たちを説得していました。

 それらの集大成が書物の『韓非子』です。


 ちなみに「子」は先生の意味です。

 なぜ「韓子」でないかといえば、唐代に韓愈かんゆという文人がいて「韓子」と呼ばれたため、まぎらわしいので「韓非子」になったといわれています。


 秦の始皇帝は韓非子の書に感動して呼び寄せますが、会ったのちにすぐ仕官させることはありませんでした。

 おそらく韓非子が口下手だったので、書とのギャップから少し様子見したほうがよさそうだと判断したのかもしれません。

 けっきょく韓非子は李斯りしの讒言で捕らえられてしまい、牢獄で自殺することになったのは前回書いたとおりです。

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