第8話 『管鮑の交わり』の管仲と鮑叔はほんとうに仲が良かった?

管鮑かんぽうの交わり』という言葉があります。


 春秋時代の管仲かんちゅう鮑叔ほうしゅくは幼馴染で、その友情は生涯変わることがなかったことから、「無二の親友」という意味で使われます。(管仲については前記事「諸葛孔明が自分をたとえるのにつかった管仲とその思想」を参照)。


 管仲は貧しかったことから、いっしょに商売をして利益を分けるときに鮑叔をよく欺いていました。

 しかし鮑叔は管仲に才能があり、いずれ大人物になると思っていたので文句をいいませんでした。


 また斉の後継者あらそいにおいて、管仲と鮑叔はそれぞれの補佐した公子のもとで敵対してたたかいました。

 管仲は敗れてとらわれましたが、鮑叔は自分の仕える小白(のちの桓公)に管仲を推挙し、宰相に取り立てました。


 管仲はまわりとの衝突を恐れない天才肌の人物、鮑叔は調和を大切にする善き人といった感じでしょうか。


『韓非子』には、「管仲が世に出られたのは鮑叔の助けがあったからである」と書かれています。


 管仲に対する後世の批判は多く、普通だったらうまく付き合っていけるような人物ではなかったのかもしれません。


 鮑叔という我慢強くて善い友を得たことが、管仲の幸運といえるでしょう。

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