3.私は天女ですが地上の女に犯されました。それはそうとして月に帰りたいです。
『かぐや様!あたし公金横領なんてやっていません!』
ああ、これはあたしの夢だ。
月の官女だった私は、汚職を行った父親の罪に連座した。
その結果、月の女王である『かぐや様』のお付きの侍女、という大変名誉な立場を失うかどうかの瀬戸際に追い込まれていた。
『知っています』
かぐや様は、寂しそうに笑っていた。
『では、免職を取り下げてください!』
あたしは、この美しい老女のそばを離れるのが嫌だった。
いや、それ以上に、会ったことも数少ない父親の罪の巻き添えで、この美しき、気高く、聡明な月の女王のお側にお仕えするという名誉ある立場を失うのが許せなかったのかもしれない。
『それはできません、決まりですから』
でも、あなたを手放したくはありません。とも、かぐや様は小声で言った。
この言葉は、今でもあたしの心の支えとなっている。
『あなたは、【地球送り】の罰にしましょう』
地球送り。かぐや様もかつてお受けになられたこの刑罰が適応されるのは、確か、ざっと300年ぶりではないだろうか。
『必ずや、罪を清めて私のもとへ帰ってきなさい』
はい、かぐや様。
必ずやこの身から穢れを払い、もう一度月の都に戻ります────
そう誓って地上に降りたったところ……
あたしは地上の女に犯されたのでした。
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