第2話
駅に着く頃には少し雨足は弱まっていたが、それでも大雨には変わりない。
駅前のバスターミナルの傍の送迎車が横付け出来るちょっとしたスペースが運良く空いていたのでそこへ軽快に車を滑り込ませる。
5分もしない内にユイから改札を出た旨のメッセージが入り、居場所を伝えると濡れながら小走りで助手席乗り込んできた。
「濡れたねぇ」
「ホント勘弁して欲しい。予報外してるし」
「靴めちゃ濡れてるじゃん。ってかさっきまでもっと酷かったよ」
「マジで最悪…」
「そこに登場したのが救世主的にこのオレよ」
「何?そのヒーローアピール(笑)」
「だってそうじゃないか。歩くか?」
「嫌です(笑)」
「仕方ない…」
「送ってー(笑)」
「ってか真面目な話急ぐんだっけ?真っ直ぐ帰宅しなきゃダメ?」
「いや、もう送ってもらえるかもって寄り道して帰るって家に連絡入れちゃった」
「良い子だ(笑) ってかこの辺りに実家があるってのがオレ的にスゲーわ」
「生まれた時からココなので知らない(笑)」
「どんな育ち方するんだよ。見るからに良いトコの子って感じじゃん(笑)」
「親に言ってあげて(笑)」
「とりあえず車出す。コンビニで飲み物でも買う?」
「じゃぁ寄ってください」
僕はユイの家とは逆方面に車を走らせて駐車場が広めの入りやすいコンビニに車を停めた。
コンビニへ2人で入って飲み物を選びながら思いの外ユイの足元がずぶ濡れであることを僕は見逃さない。
「ってか思ったより濡れてるなぁ」
「さっきも言ったよね(笑)」
「いや、暗かったしここまでとは」
「靴の中気持ち悪い…」
「脱いじゃえば良いじゃん(笑)」
「どこで?(笑)」
「ってかそのパンスト帰ったら捨てるね?」
「そうだけど。ってかまた何企んでるの?(笑)」
「いや別に。ってか行こうか(笑)」
僕はにやけそうな顔を堪えながらユイの手に取ったドリンクを手に取り、レジに向かった。
会計を済ませて外に出ると殆ど雨は止んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます