杉ちゃんにあたって

楫枕

楫枕とは、大きな海を小さな小舟で無理矢理航海していくという意味の古語です。これをタイトルとした古典箏曲もあります。

このお話は、子育てがテーマになっていますが、子育てがいま、大変になってきていますよね。昔だったら簡単にできていたかも知れないことが、いま大変難しくなっていたりとか。いずれにしても、非常に難しいものになってきているようです。

昔は、子供さんに関わる大人の数が多く、お母さんがたった一人で責任者になる、ということは、あまりありませんでした。かりに、そうなっても、誰かが手伝ってくれたりしたものです。そしてお母さんのほうも、素直に手伝ってくれた人に感謝することができたのではないかな、と、おもいます。

それに比べると、いまは、お母さんだけが、ひとりぼっちでこそだてを、という人が多いですよね。そうなってしまったから、他人の子を見る余裕もなくなってしまったのでしょうか。本当は、誰かと一緒に愚痴を言ったりしながら子育てすれば、他人の子にひどく嫉妬するようなこともないはずですよね。

そんなわけで、子育てが、荒波を一人で泳ぐような行事になっている。

そういう意をこめて、タイトルを楫枕といたしました。