本篇5、母御前
杉ちゃんのいつも良き友達であり、時に兄弟的な、時に親の役割もしている伊能蘭ですが、なかなか、性格もはっきりせず、ちょっと出番を与えてみようかな?と思って書きました。同時に、長年の宿敵であり、親友である磯野水穂との関係も明らかにさせておこうと思い書きました。
ちなみに、蘭がすごい大金持ちで、水穂がものすごい貧乏という設定はありますが、それだけではたぶん理解しがたいので、同和問題を取り上げて描きました。
ちなみに、わたしが住んでいる富士では、伝法の坂本というところに、同和地区があったと祖父からよく聞かされていました。いわゆる立ち入り禁止の区間でもあるようです。今は全く知られていないことですが、富士にもそういう区間はあったわけですから、当然住んでいた人はいるわけで、その人たちはどうしているのかなとか、よく考えていたことがあります。母は、そういう人たちのことを、親指を詰める習慣があって、四本指になることから、「四つの人」と言っていました。
その同和問題もさることながら、このお話では、蘭とその母の晴の対決も描きたかったのですが、そちらのほうが、存在が薄くなってしまったかなと反省しています。
母はたぶん、いろんなことを考えて、いろんなことをするんだと思います。でも、息子の蘭にはいい迷惑だった。そのままでは前に進みません。それでも、一緒に生きていかないといけないのが親子関係です。蘭だけではなく、私たちもそうだけど、親子はくっつかず離れずが一番いいんでしょう。
蘭は、そんなお母さんとどんな生活をしていくんでしょう。
その続きも、これからの作品で書いていきたいと思います。
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