本篇2、岳南電車(音楽譚)
芽の出ない合唱指揮者小屋敷紀夫と、富士市にある田舎の合唱団「方舟」のメンバーたちの葛藤を描いた物語です。
このお話には、富士市のローカル線岳南鉄道がお話の基軸として出ていますが、実は私、大のつくほど電車好きなのです。
電車はもちろん満員電車は苦手ですが、基本的に切符さえあれば連れて行ってくれるし、駅の風景を眺めるのも私は大好き。それも快速とか、特急は苦手で、ガタンゴトンと走るローカル線のほうがいい。あ、もちろん急ぐときは快速に乗りますけど。
この岳南鉄道も、高校時代は通学の足として、高校が終わってからは心の癒しとしてよく乗りました。
赤い小さな一両電車はなんだか気持ちよかったです。
よく思うんですけど、音楽ってなんのためにあるんかな?と思うんです。いろいろ答えがあると思うけど、正業にしようとすると、いきなり反対されることは多いですよね。音楽学校へ行くとか、そういうことを言うと、ものすごく反対されて。なんだろう、やっぱり生活費を稼ぐことが日本では正しいとされており、それができない人は、いらない人と見てしまうという傾向があるんでしょう。だから、それをしやすい仕事を選ばせることが多いけど。
でも、何かしら音楽への思い出がある人は多いんですよね。
合唱部だったとか、吹奏楽やってたとか、そういう形で参加したり、あるいはジャンル違うけど、バンドを組んでたとか。大人になってもやっていきたいって、若い時にはだれでも思うんだと思います。だって楽しいですから。
でも、進路としてしまうと、やっぱり正しい生き方に嵩じて音楽は捨ててしまう人のほうが多い。そして、音楽をまだ続けたい人をいじめたり、攻撃することもあります。音楽を続けている人は、いつの間にか自己顕示欲だけが強くなって、先生先生といわれ続けて、おごった、意地悪な人になってしまう。
どうも大人になると、一番大切な楽しむことを忘れてしまうようです。
そういうところを、本作では表現したかったのですが、なぜかだらだらと続いてしまって、そのままになってしまったきらいがあります。ちょっと反省。
でも、そこらへんの葛藤はうまく表現できたなと思います。
みんな、音楽は好きだと思うんですよ。方舟の人たち。そうでなければ集まらないでしょ。
そして、彼らを運んでいく岳南電車は今日も動き続けます。
でも、実生活には役に立たないから、各章のタイトルに、「使えない」を多用させていただきました。
まあ、あまりアップダウンの大きなお話ではないのですが、読んでみてくださいませ。
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