第3話お母様
「ディアさん」
朝お嬢様のお世話の準備をしていたら急に執事長に話しかけられた。
「なんでしょう?」
執事長は八年前に入って来られた方だがその物腰の柔らかそうな見た目とは不釣り合いな程鋭い目で私を見ていた。
「旦那様達がお呼びです。今すぐではなく今夜の夕飯の時に、だそうです」
「・・・・・かしこまりました」
執事長はそれだけ言ってサッサと離れていった。何も執事長に嫌われている訳でも怒られるようなことをした訳じゃない。ただ彼自身の性格上の問題だった。だが、それ故に旦那様に気に入られて入って直ぐ執事長の座を与えられた。
「・・・・・・・・・」
こちらも用が済んだからお嬢様の所に行こう。
「それで、なんの用で呼ばれたのですか?」
言われたとおりに夕飯の時間に旦那様達の部屋に行けばお二人の食事している真正面に置かれている椅子に座れと言われ大人しく座る。ちなみにお二人とは旦那様と奥様の事だ。
「なんの用・・・・か」
「白々しいことよ」
お二人とも赤ワインの入ったグラスを片手に持ち赤ワインがグラスの中で回るように揺らしながらも私に冷たい目線を向けた。
「あの子の婚約者を殺したのは貴方でしょう?ディア―ヴォロ」
「はて?なんのことでしょうか?殺したも何も私がメイド長から聞いた話から考えると殺人と言うより事故の様に感じられましたが?」
「・・・そうだな。あくまで、メイド長から聞いた話、だとな・・・」
奥様と比べて旦那様は先に食べ終わっていたのかワインの入ったグラスを置き机に肘を付けて手を組みさっきまでの冷めた目線から楽しそうに笑って言った。
「こちらはディアーヴォロがテミスを殺す動機を知っている」
さながらその様子は子供が自慢げに自分の考えた根拠のない空想の推理を披露する姿に似ていた。
「もしや、それだけの理由で?」
「ディア―ヴォロ、ちゃんと話を最後まで聞きなさい」
さっきまでステーキを食べていた奥様が冷めた声で注意をしてきた。
「・・・・・・」
「まぁ、聞き給え。勿論それだけの事でお前を犯人だとは言わない。だが、この不幸な話にはちょっとした裏話があってだな、trミスが乗っていた馬車も外れた車輪。崖から落ちたせいでバラバラになったが全体的にはそこまで粉々になっていなかったから警察が調べたらその車輪だけ他の車輪とタイプ所か軸のサイズまでもが違っていたらしい。そして、その車輪は何処の物か調べたら家のよく使うタイプと同じだったらしい」
旦那様は一旦そこで区切り私の目を見て再び話す。
「そうなると屋敷の者が犯人だと考えるの自然だ。そして、我が屋敷の者でテミスを殺そうと考える相手なんか、ディアーヴォロ、お前しかいない。さぁ、自首しに行くんだ」
「・・・・・・・」
旦那様は満足気に言った。
「・・・・・なるほど。単純思考、馬鹿が真っ先に言いそうな推理でしたね」
「・・・・っな!!」
私の反応に旦那様は少々顔を赤くする。おそらく怒りと酔いのせいだろう。
「そうですねぇ~、まず何故車輪のタイプが屋敷の物と同じだからと言ってこの屋敷の人間を疑うのですか?此処は貴族があっちこっち屋敷を建てているのに、ですよ。他の貴族とて同じ物を使用している可能性だってありますよ。そして、恐らく旦那様が我が屋敷の私物だと感じた原因であろう車輪の一部に書かれているボルジア家のマークがその車輪にあったのでしょうね。しかし、ボルジア家のマークは残念ながら模写しやすい。その点部外者がボルジア家に罪を擦りつけようとしての行動になりますね。貴族ですし、なんせボルジア家、ですし可能性は高いですよ」
話せば話すほど旦那様の顔は赤くなる。
「そもそも肝心な説明を貰っていませんが私が婚約者様を殺す動機はなんですか?」
「それはお前が娘の事が好きだからだろう!!」
酔いが勢いを増せたのか怒鳴る様に答えた。
さっきからその横でステーキを食べていた奥様は旦那様のその声に耳を塞いでいた。
「なるほど。要約すると私がお嬢様が好きな為に婚約者様であるテミス様が邪魔なため殺したっと?」
「あぁ、そうだ!!」
食い気味の旦那様の反応に思いっきりため息を吐く。
「馬鹿馬鹿しい。お嬢様の事をそういう意味で好きなことは認めますがだからといって、あんな男私が殺さずとも勝手に誰かに殺されてますよ。主に女性関係で」
旦那様は心当たりが合ったのか黙り込む。
「それだけですか?こんなじゃれ合いに構ってやれる程こちらは暇では無いにですよ。」
「ディアーヴォロ」
「はい」
さっきまで黙って食事していた奥様がナフキンで口の周りを拭きながら呼んだ。
「貴方その態度を私達にする覚悟はあるんでしょうね?」
「覚悟?ありませんよ。そんなもの」
「っな!!」
ハッキリ言えば奥様より旦那様が反応した。
「無くて当然じゃないですか。こんな使用人所か自分の娘までストレス発散道具に使う様な方に従えた記憶、おりませんよ」
「それが、主に対して言う発言ですか」
「残念ながら私はアンジェロというお嬢様専属の執事なので我が主はこの世でたった一人ですので、貴方達ではないにですよ」
「アンジェロは私の娘だ。ならばその親である私達に従える義務があるぞ」
怒りで燃えている旦那様とどんどん冷めていく奥様の視線と雰囲気は見てて面白い。
「お生憎様、私を必死に追い出そうとするような方に従う気は湧かないにで無理です」
思いっきり笑ってやる。
「もう良いわ。出で行きなさい」
「では遠慮なく」
これでもかっと言わんばかりに冷めた声で言われたが、気にせず出で行った。
「・・・・・・・・・・・」
出で直ぐ中から話し声が聞こえ少し聞いてお嬢様の部屋へと向かう。
次の日の早朝。知っている人の珍しい声が響きそれで目が覚めた。
「いかがなさいました?」
執事長の叫び声を聞いてから身支度して朝お嬢様が必要になるであろう物の準備が終わってから叫び声が聞こえた方へと向かうと、数多の使用人の目線が一斉にこちらに向いたかと思えばヒソヒソとこっちを見ながら話し始めた。何があったか分からず首を傾げてたら使用人の海かこっちに来ている人を見つけた。
「おやモールさん。この騒ぎはなんですか?」
その人物はモールさんだった。
「なんですかもこうでしたもありませんよ!!今まで何をしていたんですか!!」
「何って身支度と朝の準備ですよ」
私の言葉を聞いてよろけたモールさん。
「普通は叫び声に反応しますよね!!」
「えぇとはいえ、どうでもいい理由だったら時間の無駄だと思い先にそちらを」
「確かにそうですけど!!その判断のせいでディアさんが犯人扱いされてますよ!!」
「犯人?」
「お母様!!お母様ぁ!!」
その声を聞いて慌てて使用人の海を通りながら部屋の中を見る。
「・・・・これは・・・・」
ベッドの上で口から血が流れていた後明らかに死体だと分かる死体とそれを抱き込み揺するお嬢様とその様子を遠くから腰を抜かしてみている旦那様が居た。
「誰か医師を呼んでください!!」
蘇生は無理そうだが死因ぐらいは分かるだろうと思い使用人の海に向かって言えば一瞬静まり又ボソボソと会話をし始めた。何故と思った瞬間一部に声が聞こえた。
「犯人のくせに偉そうに言うのね」
「昨日最後奥様が会ったのはディアさんらしいもんね」
「朝遅れてきたのは証拠隠滅していたからよ。絶対」
「いつもお嬢様の味方しているものね」
状況が分かった。様は旦那様か執事長のどちらかが昨日の事を喋ったと言うことか。ふっとお嬢様を見れば死体に泣き縋っていた。
「っいい加減にしてくれませんか!!この際私が犯人でも良いです!!だから警察でも何でも連れてきて良いので早く医師を!!」
私の言葉を聞いて使用人たちはより一層騒ぎ始めた。
「今認めたよな?」
「あぁ。あんなに真面目なのにやるこたが中々だな」
「いや、真面目故だからじゃないか?」
内心舌打ちする。これだからこの屋敷の人間は
「そこで騒ぐ暇があるのなら辞めてもらうわよ!!」
叫ぶような声が響き再び静寂が出る。
「さっきから聞いてたらやれ犯人だのやれそんな人だと思わなかっただのこれは見世物じゃ無いのよ!!警察や医師を呼んでこなかった者は今すぐ辞めて!!直ちに!!」
お嬢様のその発言に使用人達は皆固まる。
「ほら!!早く!!そうじゃなかったら皆の家族を役立たずの家族と地の果てまで追いかけて不幸な目にあわせるわよ!!」
その言葉を聞いて群がっていた使用人達は我が身だけで外に出ていった。
「後、数分で警察がくるそうです!!」
「医師は数分で着くそうです!!」
メイド長とモールさんがそれぞれ電話かけてくれたらしくそう報告された。
「ありがとうございます。さて、話を聞かせてください旦那様。それか今は居ない執事長」
曰く今日の早朝。日課である執事長がボルジア夫婦を起こしに行った際奥様の体が横向きだったために揺らしていたらゴロンと仰向けになりその時にベッドと口から血の痕と剥き出しの目と合いその瞬間奥様が死んでいると理解した執事長は叫んだあと気絶し、旦那様は真っ先にその声を聞いて怒鳴りながら起きて隣を見た瞬間腰を抜かしてベッドに落ちたことに痛みを感じずそのまま後ずさりした結果あの場に居て、たまたま今日早く起きてたアンジェロ様が不思議に思いながら中を覗いたら母の遺体に気付き嘘だと信じていたらその願いが叶わず。それでも信じたくなくて母の遺体に縋りついていた。次に入ったのはメイド長で遺体を見てしばらく動けなかったらしいが廊下が騒がしくなって我に返り執事長をなんとか空き部屋に運んだあと警察に電話したらしい。そしてその間旦那様がディアーヴォロがやったとうわ言の様に言った結果ああなったらしい。それ以降は私が知っての通りだった。ちなみにモールさんはあの人の海の騒めきの中私の言葉を聞いて慌てて電話をしにい行ったらしい。
肝心の奥様の事だが原因不明の心肺停止らしい。苦しくなり咳き込んだ際に吐血してその後もがき苦しみ他界したとのこと。
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