少年

下上筐大

少年

むかしむかし、とはいってもそんなに遠くはない昔。あるところに、1人の少年がいました。

少年は皆んなに問います。

「どうして、僕はあなたたちと違うの?」

皆んなは答えます。

「違うことなんてなにもないよ。僕も君も同じさ。」

少年は納得できません。

納得できない少年は自分は他の人とは体の構造が違うのだと考え、肉屋のおじさんを殺してしまいました。

しかし、少年は納得できません。

殺したところで専門の知識を持たない少年に何かがわかるはずもなかったのです。

納得できない少年は他の人とは違うことをしてみようと考え、盗みを働こうと考えます。

標的は、街を歩く、お金を持ってそうな、おじさんです。

少年は初めての盗みにも関わらず完璧な盗みを働きました。しかし、少年は納得できません。

納得できない少年は、次にその町に住むお姫様に求愛をしました。少年は皆んなとは違うことをしようと思っていたのです。けど、お姫様の返事はいつも、断る内容のものばかり。

とうとう耐えきれなくなった少年は夜。静かな夜に、お姫様の住むお城に侵入することにしました。侵入することは簡単でした。

そうなればもうお姫様に会うだけです。


「こんにちはお姫様。」

少年は言います。

「ひっ…来ないで。」

お姫様は怯えています。それがなぜなのか、少年には理解できません。

「大丈夫。怖がらないで。」

少年の言葉はお姫様に届きません。

お姫様は返します。

「あなたは、狂ってるのよ。狂っている…!」

「どうして?どうして、そんなことを言うの?」

「ち…近寄らないで…や、めて…」

「あなたは…皆んなとは違う…頭がおかしい…、」

少年はお姫様を殺してしまいました。死んだお姫様の死体をみて、少年はこう思います。

「ああ、なんて美しいんだろう」


少年は町中の人を殺してしまいました。死体に囲まれて少年はこう思います。

「どうして?なにか足りないんだ。こうじゃない。」

まだ納得できない少年は自分で自分を殺してしまいました。死の淵で彼はこう思います。

「ああ、きっとこれが僕なんだ。」




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少年 下上筐大 @monogatari

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