第2話 出会いは突然

数日後、僕は列車の中にいた・・・

とある内陸県を、のんびりと走るローカル線。


そのボックスシートに、腰を下ろして車窓を眺める。

完全に山の中を走っている・・・


その割に、鉄橋は多いが、トンネルは少ない・・・


「見事に、緑色だな」

「もう少ししたら、赤く変わるよ」

「えっ」

その言葉に驚いた・・・


「佐久良さん?」

「びっくりした?」

それは、びっくりする。びっくりしない方がいたら、ぜひご連絡が欲しい。


「前、いい」

「うん」

「ありがとう」

佐久良さんは、笑顔で座る。


女は、20歳すぎると劇的に進化を遂げると言うが・・・

佐久良さんも、例外ではなかった・・・


「東瀬くん、元気だった?」

「元気だから来た」

「相変わらずだね。」

会話をしているうちに、高校時代へとタイムスリップしている感覚を受けた。


「おじさんと、おばさんは元気?」

「うん、東瀬くんが来るのを待ってるよ。大歓迎するって・・・」

「それは、ありがたいね」

「で、東瀬くん」

「何?」

「私の事は訊かないの?」

そういや、訊いてなかった・・・


久しぶりの再会、失礼だろう・・・

訊いてみる事にした・・・


「誕生日は?」

「6月25日」

「血液型は?」

「B型」

「好きな動物は?」

「カワウソ」

「好きな花は?」

「桜」

「座右の銘は?」

「沈黙は金なり」

(これは、嘘だな)


「身長は?」

「162」

「体重は?」

「4・・・って、違うでしょ?近況は訊かないの?」

佐久良さんは、怒る。


もっと質問しようと思ったが、止めておいた・・・

これ以上は、まずい・・・


聞いてきたのは向こうだけど・・・


「のってたじゃない」

「怒るよ」

2人で笑う・・・


こういうのも、いいのかもしれない・・・

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