終章、そして

 翌日、帰りまでずっとみんなに心配や喜びの声をかけられた。お金持ちのお嬢様は泣きながら僕の手を取り、新聞の彼はそれを見て「いきなり浮気かよ」と笑顔で呆れられた。


 そして放課後、交差点の前に立つ綺麗な女性に声をかける。お互いまだ名前を呼び捨てにすることはできないまま、信号の下に花束を置く。妹さんは生前僕に会いたがっていたと教えられ、長く手を合わせた。


 先輩に、昨夜のことを報告した。そばだったり美しい山々だったり、豊かな自然の写真や、少し言うのを憚られたが、先輩に似た美少女とのツーショット写真が送られてきたことを。

 それは良かったねと先輩は笑ってくれた。


 すると、スマホに通知が来た。あの人からメールだ。

 たったた一枚の写真。そこには、交差点で信号を待つ二人の姿があった。学校指定の黒いスカートを履いた女の人がカッターシャツの男にペットボトルの水を渡している。メールの送信日付は去年の始業式の日だった。

 これは、先輩の妹さんが……。


 先輩に見せようと思ったら、酷い立ちくらみがした。彼女が伸ばす細くて長い手を掴む。

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