第3話 勉強会
そんなこと考えていると夜は開け、約束の時間になっていた。
山に行くと彼女が昨日のように待っていた。
「ごめん、待った」
待ち合わせ定番のような台詞を言う。
「待ってないわ、じゃあ行きましょうか」
そう言って彼女が歩いていくのを後ろをついて行く、正直初めての女の子の家ということでかなり緊張していたが彼女の家に着いた時そんなものはどこかに行ってしまった。
玄関の前に門があった。
思わず門を見上げて立ち尽くし出しまった。
彼女の家は俗に言う豪邸と言うやつで門を入ってから玄関までが長く庭と言うより公園ぐらいの広さだ。
僕が「す、すごいね」と言うと彼女は「そう?」と言っていた、レイアス女子校はお嬢様校だって聞いたけど皆こんな邸に住んでいるのだろうか。
家の中はまるで映画の世界のようで、彼女の部屋に行くまでにいくつもの扉を見たけど全て使っているのだろうか?
「そこ座ってて、お茶取ってくる」
そう言うと出ていってしまった、とりあえず部屋の真ん中にある丸テーブルに座る。
あまりまじまりと見るのもどうかと思うが彼女の部屋は思っていたより女の子っぽくて、ベッドの上にはぬいぐるみが置いてあった。
机の上には中学時代らしき写真が飾ってあって、隣に映る少女と笑っていて彼女は今より幼く見えた、けれど幼く見えるのは年や髪の長さやだけのせいではないと思った。
そうしていると彼女が戻ってきた。
「お待たせ」
と言って紅茶とお茶菓子を持ってきてくれた。
「ありがとう、色んな教科の宿題持ってきたんだけど」
「それじゃあ全部終わらせましょうか」
「えっと、結構な量あるんだけど」
英語や数学などワークを8冊ほどそれは夏休みの宿題の半分程の量を閉めていた。
「大丈夫、参考書もたくさんあるし、私も教えるから」
と笑いかける彼女。
その優しい笑顔は開始30分と持たなかった。
彼女の教え方はかなり厳しいものだった。
「そこ違う、前の式を代入するの。ここも違う、ちゃんと公式理解してる?」
「この漢字違う、渦々しいって何に?。そうじゃなくて禍々しいでしょ」
そうやって5時間以上怒られ続けた僕は持って来た宿題の全部とはいかないものの3分のほど終わらせることができた。
「お疲れ様、はい紅茶」
机に突っ伏していた僕はそれをありがたくいただく。
「いやぁ、ごめんねずっと付き合わせちゃって、でもまさかこんなに終わるなんて思ってもみなかったよ。本当にありがとう」
「いいの、私もあなたに教えるの楽しかったから」
「楽しかったんだね…はは」
あれで楽しかったのか…彼女は案外Sっ気があるのかもしれない…。
「もう6時過ぎてるけどどうする?晩御飯も食べっていったら?」
「ううん、そこまでお世話になる訳にもいかないし今日は帰るよ」
「そう、じゃあ門まで送っていくわ」
「ありがとう」
門の外で別れた僕の足取りは軽かった、宿題がここまで進んだことも大きいが人生初女の子の部屋というのは男にとっては重要なことなのだ。
ベッドの中というのは色んなことを考えるのに最適だ。
例えば将来のこととか日本の経済状況とかいくら悩んでも仕方の無いことから僕と彼女の関係はなんなのかとか必要なことまでを寝るまでの暗闇で過ごす時間に考えるのはぴったりだと思う。
夏休みの初めにあの山で出会った僕達だけど改めてどういった関係なのか考えてみるとすぐには答えがでない。
友達と言うにはまだ数回しかあっていないし、かと言って知り合い程度の関係で家に上がられてもらえるだろうか?
じゃあ僕は彼女のことをどう思っているのだろうか、初めてみた時主人公みたいだと思った、それは今でも変わらない彼女は勉強も出来てお嬢様でかっこよくてそれに…かわいい。
彼女といると僕までなんだか自信が湧いてくる、そんな気持ちにされてくれる彼女を僕はどう思っているのだろう、僕は友達ぐらいにはなれたんじゃないかと思うけど彼女はどうなんだろうか。
名前は覚えてくれてるしそんなに悪い印象では無いと思いたい。
そんなことばかり考えているといつの間にか睡魔にさらわれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます