2 青葉圭子

 その朝、青葉あおば圭子けいこは首筋に痛みを感じた。


 それからたびたび眠気に襲われ、何度も意識が飛んだ。


 普段授業中に眠るような女の子ではなかったが、意識が飛ぶ感覚は朝よりも昼のほうが早くなった。


 うとうとしてしまう姿に「大丈夫?」と隣席の磯早唯に声をかけられ、返事もあいまいだったことから彼女は保健室に誘導されて寝台で眠りについた。


 目が覚めると今度は妙に体が火照って熱い。


 保健室の暖房がついているからかな。


 圭子はそんなことが少し気になったけれど、時計を見て慌てる。


 時間はとっくに放課後。圭子はサッカー部のマネージャーだった。


 けれど仕事熱心というわけではない。


 妙成寺みょうじょうじたけるというサッカー部の彼氏と待ち合わせをしていた。


 友達経由で体調不良のことは伝わっていて、私のことをきっと慰めてくれるに違いない。


 圭子は最後にそんなことを思った。

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