少年の疾走 2

・・・放課後・・・

「あ〜、キツかった」

あの後の事は覚えていない。気が付いたらいつもの指導室にいた。そして延々と指導され、さっき解放されたのだった。

「残念だったね」

そう言って後ろから話しかけて来たのはクラスメイトの1人、川嶋だった。

中性的な顔立ちで勉強好きな彼は、学校に通い始めて初めて仲良くなった友達だ。

「部活停止に毎日補習とか嫌だ〜」

「それは自業自得。そうそう、先生が言ってた事調べたら面白い事が分かったよ」

「なんだよ?」

「この学校は昔不良だらけで有名な高校だったんだって」

なんでも当時、『苦羅魔』とかゆう暴走族の頭がこの学校のOBらしい。

その暴走族に憧れた者達が全国からこの学校に集まって来たとの事。

「確かにこの高校何かしらのスポーツできれば合格だから入りやすいよな」

「うん、それで不良達がいっぱい入って来て学校が困ってたらとある新任の先生が竹刀持って其奴らを片付けたんだって」

……話が読めて来た。

「そしてその後に新任の先生が体罰許可を国に直接出して採用されたらしいよ」

うん、分かった。国のお偉方も恐怖したんだろうな〜。

新任の教師とはおそらく須賀先生だろう。あの人何者にでも勝てそうだ。

・・・・・・

今日から部活停止なので帰ることにした。

皆は部活中なのでこの時間に下校するのは俺だけだった。

「明日からの補習やりたくねぇ〜」

これからの学校生活に嫌味を覚えながら家に帰宅。

家についてから親が今日は帰りが遅いのを思い出したので、駅前のジャンクフード店へ行くことにした。

大通りを歩いている時、ふと路地を見るとバイクに乗る集団と、竹刀を持つ女性が口論をしていた。

色々と言いたいところがあったが、女性が竹刀を持ってる時点で大丈夫だと判断した。

……この地域で竹刀を持ってる人は1人だけだから。

『お前ら何してんだ?』

うん、声で確信した。絶対須賀先生だ。

『姉さん。今彼奴らの所にあの男が返って来てるんっす。なんでも、めんどくさい奴がいて懲りないから溜まっているんだとかで』

姉さん? どうゆう事だ?

……俺はそっと彼らの旗を見た。そこには大きく

『苦羅魔』

と書いてあった。

「え、えええええ〜〜〜!!!??」

なんで! あの戦闘狂が暴走族に姉さんって呼ばれてるの?

状況が理解できずに混乱していると、

「盗み聞きとはいい度胸だな、さ・か・も・と?」

背後から肩を掴まれた。

恐る恐る振り返るとそこには


笑顔を浮かべる須賀先生がいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る