第37話 翡翠眼
サーラちゃん、改めサーラさんに会いに行く。村長エルフが相手をする様に言ってきた為だ。
なので今日は翔太が単独で捜査に出ている。
コンコン
「サーラさん?入っても良いですか?」
「ん。良いよ。」
ガチャ
ドアを開けるとそこにはサーラさんとメイアねぇさん、そして火野さんが居た。
「え!?海斗君!?捜査に行ってるんじゃなかったの!?」
おおっと、この言葉はまさか居て欲しくない宣言か…
「私がお母さんに頼んで呼んだ。」
「海斗に伝えときたい事でもあったのか?」
メイアねぇさんが聞く。確かに俺もなんで呼ばれたのか気になっていた所だ。
「貴方の、その力について、話したい事がある。」
「…ちょっとサーラさん、このタイミングではそういうのは止めようぜ…俺は常識ある厨二病なんだ。」
「厨二病?何のこと言っているのか分からないけど真面目に聞いて。」
真面目に?いや、そういう設定か。
俺はそう納得する。
この世界には厨二病という言葉が無いのだろう。だから厨二病と言っても通じないが、だが同胞ならば意を汲み取ってやらなくては。
「……………駄目だっ!やっぱり恥ずかしいっ!」
メイアねぇさんと火野さんが見ているところじゃ絶対に無理だ!
「ねぇ、本当に真面目にーー」
「海斗、真面目に聞け。」
こっわ!メイアねぇさんの目が笑っていない!?
俺はすぐさま正座してサーラさんの顔を見つめる。
「…ふぅ、ちゃんと聞く気になった?」
「サーラさん、一ついいですか?俺に力があるって、そういう設定という訳では無いって事でいいんです?」
「ん。設定とかじゃ無いから…それよりさっきからサーラさんって何?昨日はサーラちゃんって呼んでたのに。」
「昨日村長からサーラさんは俺より年上だって聞いたんで。」
俺は正直に話す。聞くなとか言われていないしいいよね?
「…確かにそうだけど、普通女の子に年齢聞く?」
良くなかった。
サーラさんの言葉は咎めるような態度だがメイアねぇさんと火野さんの目は「何聞いてんだ。」と言っていた。
「すいません!そ、それで俺に宿る力っていうのは?」
「私はまだ43歳よ。それでーー」
「「「え?」」」
ぽろっと言った一言が余りにも衝撃だった。サーラさんの容姿は中学生終わりぐらいだ。幼さがちょっと抜けてきているような見た目で、そのせいか40もいっているとは思わず、皆が素で驚いてしまった。
「…あ、ち、違うのよ!?そういう意味じゃなくて!」
「そうだぜ!エルフは寿命が長いらしいからな!それくらいが普通なんだろ?」
「い、いやぁー羨ましい。俺も長い寿命欲しいな!」
それぞれが必死に言い訳をする。だがサーラさんは俯いてしまった。
「別にいい。そもそもエルフは寿命が大体200歳ぐらいだから、このくらいの容姿なら普通。むしろちょっと小さ………成長が遅いくらい。」
最後言い直した!?まぁ触れられたく無い部分なのだろう。それに200歳が大体の寿命なら、人間に照らし合わせてみたら俺らの歳ぐらいだ。
「だから敬語は要らない、サーラでいい。それより話の続き、貴方の力について。」
自分より年上にタメ口って言うのは困るな…けどそれでいいって言ってるし…
「じゃあタメ口にしま…するけど。それで、俺の力?」
「そう。貴方の力についてだけど、どうやら何も気づいていないんだね?」
「この異能の事ですか?」
そう言って俺はマジックハンドを発動する。
「違う、それの事じゃ無い。」
これじゃ無い?一体何のことだ?
「良い?私達エルフには
「魔眼!?どんなやつ!?」
「ま、待って。今説明する。近い…」
しまった、少し近づきすぎたようだ。
俺はすぐさま離れる。
「こほん、それで翡翠眼にはある力がある。それは力を見る力、例えば魔力、他には転生者や転移者なんかの異世界人が大体持っている神力。」
「「「神力?」」」
「そう、貴方たちが異能と呼んでいる力のこと。」
あぁ、そういえば王国の王女さんが神域を通りーだとか言ってたような…
「それで?俺の力って言うのはそのどれでも無いと?」
「そう。色が全く違うから。」
「色?」
力に色があったのか。どんな色があるんだ?
「魔力は青色。だから大体の人は青いオーラを纏ってる。そして神力、これは黄色。美香とメイアは青色と黄色の2色見える。」
「え!?ちょっと待って!メイアさん、もしかして貴女、転生者?」
「………まさかこんなとこでバレるとは…」
「ごめんなさい。隠してたとは思わなかった…」
「いや、その内話そうと思ってたんだ。別にいい。それよりも海斗の力について話を進めよう。」
まさかこんな所でメイアねぇさんの秘密がバレるとは…
予想外の事態が起きたものの、当の本人であるメイアねぇさんが話を戻す。
「分かった。それでこの人に見えるオーラは黄色と黒。一つは神力、そしてもう一つは…」
「「「もう一つは?」」」
何だ?一体どんな力何だ?
ドクッドクッ
心臓の音がうるさい、常識ある厨二病としては誰も持っていない影魔法の力だとか、かつて居た魔神の力だとかが良い。
「……………ごめん、分からない。」
ガクッ
まるで漫画のようにコケる。狙っていたんじゃないかと思うくらいだ。
「で、でもお母さんに聞けば分かると思う。」
「じゃあ聞きに行きますか。」
俺たちは村長エルフに俺の黒いオーラについて聞きに行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
村長エルフ視点
小僧が持ってきた黒マントは11枚、それはつまり11人のエルフを殺そうとしていたと言うことだ。
「だが何故11人のエルフを殺す必要がある?何か必要がある?だとしたら何だ?…生贄か?何のために…いや、ただの私怨という可能性も…」
様々な可能性を考える。だが一向に予測がつかない。
コンコン
悩んでいるとドアが叩かれた。
「入れ。」
「失礼します。村長、またエルフが殺されました…」
「またか…」
これだけ手を尽くしているのに見つからないとは…いや、待て!
「おい、殺したのが誰か分からないのか?」
「はい、どうやら今回殺したのはエルフではなく、罠で殺されたようで。場所は東区3番地でした。」
そうか、どうやら犯人もマントを持っていかれて自分で動けなくなったらしい。
このままいけば見つけられる。
「他にあるか?」
「いえ、以上です。」
「そうか、また何かあったら言え。」
「はい!失礼しました!」
ガチャ
少し予想がついてきたぞ。
トラップに嵌めてまで殺したという事は復讐の可能性は低い、それに今回エルフが殺された場所、それに今までの場所を合わせれば円が見えてきた。
つまり犯人は11人の生贄が必要な魔法を使おうとしている。
そして生贄を必要とするのは禁呪、確かあの男が禁呪目録を持っていたな。
借りに行くか。
コンコン
「お母さん、入って良い?」
「サーラか。いいぞ入って来てくれ。」
ガチャ
「入って来て。」
「失礼しまーす。あ、ども、村長さん。」
「「失礼します。」」
サーラだけじゃないのか…まさか小僧も来るとは…
「そんな嫌な顔しないで下さいよ。」
「しておらん。」
全く、何でこいつも来るんだ…というか何の用事だ?
「すいませんね。一つ、聞きたい事があって参りました。」
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