第18話 スカイダイビング
気づけば俺は、空にいた。
「へ?」
そのまま体は落下して行く。下は草原、落ちればただでは済まない。
「ちょっ!何で私達落ちてんのよ!?」
声が聞こえた。
そうだった。火野さんも一緒に飛ばされたんだった…くそ!何としてでも助けなければ!
だがどうする?このままでは下手しなくても死ぬ。何か、クッションになる物があれば…………
ダメだ…これしか無い…
「火野さん。もしさ、みんなに会えたら俺が「一緒に帰れなくてごめん」って言ってたって伝えといて。」
「 はぁ!?まさかあんた!」
「ごめん、先に逝く。」
「嘘でしょ!?やめて!やめなさいっ!」
そう。クッションが無いのなら別の物で代用するしか無い。火野さんを助けるには俺がクッションにの代わりになるしか無い。
「うぁぁぁぁぁぁ!!海斗!助けて!死ぬ!僕、こんなとこで死ぬとか笑えないぃぃぃぃ!!」
!?
この声…まさか!
「翔太!?」
「何で僕ら落ちてんのさ〜!」
ヤバい!二人はまずい!下手すりゃこの中の二人死ぬ!
俺がクッションになったとしても、その上に二人が乗れば一人は三人目の下敷きになって死んでしまう可能性が高い。
くそ!どうする?どうすればいい?
考えている間にも地面は刻一刻と近づいてくる。
「そうだ!海斗!僕らは鳥になるんだ!羽ばたけば飛べる!」
「翔太!?お前何錯乱してんだよ!しっかりしろ!」
「バッサ!バッサ!バッサ!」
「オィィィィ!翔太ぁぁぁぁ!」
駄目だ…翔太はおかしくなった。
二人を助ける為には…アニメみたく、足で衝撃を吸収してみるか?だが危険な賭けだ…
他に、方法は…………あぁ!くそ!分かんねぇ!もうやるっきゃ無い!
アニメのようにというかなりアホな考えが浮かび、他に方法が思いつかないので腹をくくる。
「二人とも!死んだらごめん!」
「待って!あんた何する気!?」
「俺が二人の衝撃を吸収する!乗って!」
火野さんをおぶった。
「翔太!」
「バッサ!バッサ!」
未だに錯乱している翔太を掴み、肩に乗せる。
火野さんは背中を丸めて衝撃を受けるとして、翔太をどうするか?俺の力じゃ落としそうだ……ん?力?そうだ!
思い出す。あの時、小太陽にぶつかった時の限界を超えた力を。
思い出せ!あの時の感覚を!
あの時の力が湧き上がってくるような、凄まじい力を!
「うぉぉぉぉぉ!!火事場のぉ!馬鹿力だぁぁぁぁ!!」
力が湧き上がってくる。あの時ほどでは無いが凄い力だ。
そのまま地面に近づいていく。
「バッサバッサバッサバッサ!」
「いやぁぁぁぁ!!」
「ここだぁぁぁぁ!」
そして、地面に激突した。
ズドン!!ベキッ
あれ?なんか折れた…
骨がが折れた音とともに、俺は生きて地面に着地出来たことを認識した。
「痛ってぇぇぇぇぇ!?」
そして遅れてやって来た痛みに、絶叫した。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
足の骨が折れたのか、激痛が走る。痛いとしか考えられない。
だが不意に、痛みが静まって来た。
「?な…にが…?」
「ありがと…助かったわ。」
「火野…さん?」
「ええそうよ。お陰で助かったわ。」
どうやら火野さんの異能で治してくれているらしい。
「そうか…良かった。そうだ、翔太は!?」
痛みが治ってきたお陰で普通に話せるようになってきた。そして翔太の安否を聞く。
「生きてるわよ。そこで吐いてるけど。」
「オェェェェェ…か、海斗…ありがとうって言いたいけど…この仕打ちは酷っオェェェェェ…」
翔太は肩に乗せて降りたせいか、衝撃が全て腹に行ったようだ。
木の陰で腹の中の物をぶちまけている。
「良かった、生きてたか。
…火野さん、翔太が臭いから少し離れよう。」
「えぇ、そうね。肩貸すわ。」
「あぁ、ありがとう。」
「待って二人とも、僕を臭い奴扱いしないっオェェェェェ」
臭い翔太を置いて俺たちは離れて行った。
「お願い。待ってよ。ほんと…オェェェェェ。」
暫く離れている必要があるようだ。
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