第17話 世界転移

ようやく下に着いた。


そこには巨大な扉があった。


「何だ?この扉?」

「取り敢えず開けてみるしか無いでしょ。」

「そうだな。でもどうやって開けんだ?」

「………………」

「………………」


取り敢えず色々やってみるしか無いと割り切って弄ってみる。


んー?何か無いかなぁ?…お!これは!


「これは!」

「どうした?何かあったか?」

「何かの模様…いや文字?」


そこにあったのはこの世界の文字と思われる模様だった。


「誰かこの文字読める様な異能持ってる奴いない?」

「持ってねぇな。」 「読めない…」 「我にも読めん!これはまさか古代文字か!」


「古代遺跡なんだから古代文字なのは当たり前だろ。」


みんなに聞く。が、誰もそういう感じの異能を持っている奴はいなかった。


「じゃあ、どうすっか?この扉ぶっ壊してみる?」

「他に方法が無いもんな?やってみっか!」


健二の提案に俺が賛同する。どのみち何もせずに戻るつもりはない、やるだけやってみるべきだ。


「行くぞ!」


健二の掛け声と共にそれぞれの技が放たれる。


ドガァ!ドゴォォォォォォォォォ!!キィーン!ズドン!


派手な爆発音が聞こえ、辺りが煙に包まれる。

煙が晴れ、扉が見えてくる。

扉はーー


無傷だった…


「マジかー、行けると思ったんだけどな…」

「ま、そんなもんだろ。」

「そうだな。」


はぁ、やっぱりダメだったか…

しっかし、この扉何の素材でできてんだろう?


そう思って少し扉を触ってみた。


硬い…鉄、では無いよな。あれか?ミスリルとか、もしかしたらオリハルコンとかかも知れない。

待てよ?もしミスリルとかだったら魔力を含んでいるのが定番…

ならマジックハンドで何とか出来るかも!


思い立ったが吉日とばかりに右手にマジックハンドを集中させる。


「マジックハンド!」


扉に触れる、だが変化は無かった。


くっそー、行けると思ったんだけどなぁ…


行けると思っていただけに落胆し苛ついた。


ガン!


そして憂さ晴らしを込めて扉を殴りつけた。


ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!


部屋に大音量の音が鳴り響く。


これは…警告音!?


「へ?…な!?何だ!?」

「おい、海斗!何をした!?」

「分からん!扉を殴ったら突然!」


警報の様な音は鳴り止まない。


「くそ!何だか分かんねぇけど一旦戻るぞ!」

「ああ!」


俺たちは降りてきた時とは別の、登って行く浮遊石に向かおうとする。だがその瞬間、機械音声の様な声が聞こえた。


『警告、警告。第一防衛門の魔法障壁が破られました。防衛の為、世界転移を発動します。』


そんな言葉が聞こえると同時に登る浮遊石が停止した。


な!? 嘘だろ!浮遊石が!それに世界転移!?

ヤバい!俺の予想が正しければ世界転移は!


「ね、ねぇ。あんた何したの?一体何が起こっているの?」


火野さん!?丁度いい!


「ねぇ!ちょっと聞いてんの!?無視しないでってきゃあ!」


火野さんの手を掴む。そしてみんなに伝える。


「全員!近くの人間に触れさわれ!俺の予想が正しければ世界各地にランダムで飛ばされるぞ!」

「はぁ!?何よそれ!」

「分かった!みんな俺に掴まれ!」


健二が近くの数人の手を掴む。他の皆も一人でいる奴は居なさそうだ。


待て!翔太がいない!


「海斗!早くこっちに来い!」

「分かってる!でも翔太がいない!」

「何!?今は良い!急げっ!」

「くそっ!」


健二の元へ向かう。だが…


『世界転移の発動準備が整いました。世界転移、発動します。』


「くそ!間に合わなっーー」


健二に触れるよりも早く、世界転移は発動した。

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