第11話 旅の始まり
「どこだ…ここ?」
目を覚ました俺は周りを見渡す、何故か俺はベットに横たわり、窓の外を眺めて見るも只の暗闇が広がるばかりだ。
ダダダダダダダ!!
ガラッ!
「目ぇ覚めたか!海斗!」
「よう健二、どうやら俺はまだ死んでなかったらしい。」
「アホか!冗談でもそんなこと言うんじゃねぇよ。」
「あー、悪りぃ。」
「僕もいるぞ。」
「なんだ、翔太も来てたのか。異能を使えるようになってから、さらに影薄くなったな。」
「そうか、君は喧嘩売ってるんだね?笑えないなぁ。」
健二と翔太が入ってきた。いつもの調子で話をする。図星だったのか翔太が若干本気でキレている。
「ま、まぁまて、病人に手を出す気かよ…」
「ったく、仕方がない。今回は許してやる。」
「ハッハハ、そりゃ良かった。っとそうだ!ここどこだ?」
「あぁ、ここは_」
「ここは、我が異能で作り上げた幻想の世界!滅びゆく運命の海斗殿を安寧へと誘う神の如き力っ!」
なっ!誰だこいつは!?突然入ってきて何なんだ!
「何でも建野の異能で部屋を異界に作れるらしいよ。」
「待って!?建野っつった!?建野って
「うん、そうみたい。」
「はぁ!?建野っつったら、ザ・普通って感じだったじゃん!何で!?」
「この世界来てから厨二病を発症したらしい。」
「我は真なる自分に目覚めたのだ!分からぬか!この身に集う只ならぬ力が!」
信じらんねぇ、あの教室でスマホ弄ってるか、友達と話してるかしか記憶にねぇ建野が?
「良かったじゃん、これで厨二病仲間が増えたね。」
「だから俺は厨二病じゃねえっ言ってんだろ!」
「どこが?お前異能を使った時こう言ったろ?『負けられ…ねぇんだ!守るべきもん背にしてんだから!だから…負けられねぇんだぁぁぁぁ!!』だっけ?これで厨二病じゃないとか、それは草。」
「うぁぁぁぁぁぁ!!」
発狂した、ヤバい、興奮状態だったとはいえなんて事を口走ってんだ俺は…
「戯言を抜かす元気があるようだな、我が力を解放する!暗黒の世界へ行くが良い!」
建野が異能を解除するので部屋から出て行って欲しいと言う。それを二人にも伝えた。
「部屋から出て行ってほしいってよ。」
「あ、あぁ分かった。」
何故か引きつったような声が聞こえたが何のことか分からないので無視をする。
そして俺たちは部屋を出た。瞬間世界に眩い光が生まれ、目をつぶってしまう。
目を開けた時、木々が見えた。
「あ、市原君!目を覚ましたんだね!」
「よぉ、無事みたいだな。」
そこにはみんながいた。
「みんなこそ無事そうで何よりだよ。」
「お前のお陰だよ、ありがとうな。」
そんな事を面と向かって言われると流石に恥ずかしい。
「お前らだって戦ったろ、おれ一人じゃ何にも出来なかった。ありがとうなんて言うなよ。そ、それよりも此処は?」
照れ臭くなって俺は話を逸らす。
「あぁ、此処は王国の西側の森、街に行きたかったんだが、誰かさんが城を好き飛ばしたからな、大混乱だよ、大混乱。」
ま…マジか…
予想通りだが、信じたくはなかった結果に頭を抱える。
「と…取り敢えず、この森を抜けよう。話はそれからだ。」
そう言って俺は歩き出すが、後ろからいくつかの白い視線を感じた。
〜〜〜〜〜〜
月の核三時、森の中
ホー、ホー、ホ〜ホホッホー
フクロウだからなんだか良く分からない声が聞こえる。
「ふぁ〜あぁぁ。寝っみいー、ゲームがあれば…」
「こんな事ならオゼロ盗んでくれば良かった。」
俺たちは暗闇の中、空中に浮かんでいる扉の前にいた。
一緒にいるのは翔太だ。
「オゼロ?何だそれ?オセロじゃないの?」
「オセロの事みたいだけど、こっちで変わっているみたい。」
「へー、何で盗んで来なかったんだよ。」
「動揺していて、盗んだらバレるかもって思ってた。」
「馬鹿だろ、本当に馬鹿だろ。」
「お前にだけは言われたくない。」
「何おぅ!テメェ表出ろ!」
「表って此処だし、草だわ」
いつも通りの馬鹿話しをしていると背後の扉が開いた。
「おーい、交代の時間だ。」
「お、やっとか。」
建野の部屋創造は中は外との繋がりを断つのだが、扉を開けられるとその限りでも無いので、交代で門番をしていた。
バタバタバタッ
鳥が飛んだのか音が聞こえ、思わず空を見上げる。
そこには満天の星空と三つの月が見えた。
本当に、異世界来ちまったんだな、みんな無事に帰れれば良いんだけど…
「海斗、何空眺めてんの?僕は先に部屋戻って寝るぞ。」
「あぁ、待っておれも寝る。」
そして翔太と共に部屋に入り、風呂部屋で風呂に入ってから男子用の大部屋で寝た。
こうして、異世界の激動の旅、最初の1日は過ぎて行った。
あ、上の服は燃えたから着てない。この日は上半身裸で過ごしたんだ。
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