第4話 魔法を使っ…
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
広大な中庭の中で俺の慟哭が響きわたる。俺の心中は疑問と悲しみに覆われていた。
何故!?一体何で俺だけ!?
俺の叫びはしばらく響き続けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時は遡って少し前、俺たちは城の中庭へと集まっていた。
「え〜、それでは魔法、及び異能の説明に移りたいと思います。」
魔法をようやく使えるようになるということで、どうにも落ち着く事が出来ない。凄く楽しみで仕方がないのだ。
「まず、魔法の使い方ですが、魔法を使うには三通りの使い方があります。
一つ目は最も良く使われる方陣魔法です。これは魔法陣を物体に描き、魔力を込める事で発動します。他の二つの使い方よりも魔法展開が早く、複数回の利用が可能な為、良く使われます。
次に構想魔法です。魔法発動に必要な手順を頭の中で行う事で魔法を行使します。熟練の魔法士程よく使いますね。
最後の方法は詠唱魔法です。これは余り使う人間がいません。何故ならこの魔法は別名、創造魔法とも呼ばれ魔法を創り出す時のみ使用されるからです。」
「創造魔法って一回使ったらもう使えないんですか?」
「いや、そういう訳でも無いのですが、一度魔法を使うと魔法陣を覚える事ができる為、詠唱魔法を二度も使う事は無いのです。」
成る程、魔法を使う方法が三通りあるのは何となく予想していたが、一番使われるのが方陣魔法なのか…
目指す先は構想魔法だな、どんな魔法が使えるかな?フフフ、フフフフフフフ!
将来的に目指す魔法士の形を考える。もはやニヤつきが抑えられない程に楽しみだ。
「それでは魔法を使ってみましょう。最初は子供でも使える魔法、ライトを覚えて頂きます。その為にはまず魔力穴を開ける必要がありますので、こちらの道具に触って頂きます。」
「すみません、魔力穴ってなんすか?」
クラスメートの男子が聞いた。確かに魔力穴が何なのかは気になるところだ。
レーゼさんが説明を再開する。
「魔力穴とはその名の通り、魔力が流れる穴です。体の中にあり、誰もが持っているものですが使わないと開かない為魔法が使えません。なので、この道具を使い強制的に開きます。多少の痛みがあると思いますが、時間をかけて開くよりは楽だと思われます。どうです?使いますか?」
まさかそんな便利な物があるとは思わなかった。痛みを感じるという事で多少躊躇している人もいるが、ほとんどの人が使うつもりだろう。
「では順番にどうぞ。」
そう言われて一人づつ触れていく。最初の人が触れると道具が淡く光り、痛みが多少あったのか「痛っ」という声が聞こえたが、のたうち回る程の痛みでないのなら大した問題ではない。
そんなこんなで最後にようやく俺の番が回ってきた。
ドクッ!ドクッ!
心臓の音がうるさい、だがそんなこと気にならない程に期待が高まる。
これで俺は、魔法を使えるようになるんだ!
少し震えている体を気合いで抑える。
そしてついに俺は目の前の道具に手を触れたーー
………………………………あれ!?
何故だが痛みが感じられない、道具も光っていない。これは一体どういう事だろう?
「すいません、道具が故障していると思うのですが…」
俺はレーゼさんに故障していると思われる事を教えた。
「おや?本当ですか?ちょっと失礼。」
そう言ってレーゼさんは道具に手を触れる、すると道具は光を放った。
「うん?壊れてないですね。もう一度触れてもらっていいですか?」
そう促されたのでもう一度道具に触れる………が光らない。
「う〜ん、これはまさか…」
「えっと、これ何で光らないんですか?」
なんだか不安になった俺はレーゼさんに聞く。
「…………、残念ですが、貴方には魔力が無いと思われます。」
「…………………………………………………………………………………………は?」
一体この人は何を言っているのだろう、魔力が無い?それはつまり異世界で魔法が使えないって事か?なんで!?どうして!?なんでなんでナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ!
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
中庭に俺の慟哭が虚しく響き渡った。
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