第2話 ラノベの様な展開だ
暗闇に飲まれた意識が少しずつ覚醒していく。
「う………」
目を覚ますと目の前は明るかった。眩しさのあまりうめき声が漏れる。
「ここは?一体何処だ?」
目が慣れて周りが認識できると自分がベットの上にいるのが分かった、そして自分が異世界にいることも、窓から見える外の景色が地球のものではないことが見て取れたからだ。
「ありゃあ世界樹的なやつか?」
窓の外では西洋の街と、奥の方に雲よりも高い大木が見えた。
「っと!そうだ、みんなは何処に行ったんだ?」
俺はみんなの姿がない事に気づきベットから降りる、そして部屋を出て城内と思われる建物の中を歩き始めた。
しばらく歩くとメイド服を着たメイドと思われる綺麗なねーちゃんに出会った。
「おや?お目覚めになった様で何よりです、海斗様。」
メイドのねーちゃんは話しかけてくるなり俺の名前を呼んだ。
「へ!?何で俺の名前を?」
「ご友人の方々がそう呼ばれていましたよ。」
「あ、みんないるんですか?今何処に?」
どうやら知っている様なので何処にいるかを聞いた。
「皆さんお目覚めになられて集まっておりますよ。海斗様もお目覚めになられ次第、お集まりになる様に言われていますので、どうぞこちらへ。」
メイドのねーちゃんはそう言って歩き出したので跡を追う。
さて、この後どうするかみんなと話し合わなくちゃな。
少し話したかったが仕事なのかメイドのねーちゃんは一言も喋らずに俺の前を歩き続ける。
き、気まずい…
結局話す事は出来なかったのだった。
〜〜〜〜〜〜
しばらくすると道の先にに重厚な扉が見えてきた、恐らくあれが謁見の間だろう。
ギィィィィィィィィ
隣に立っている兵士によって、音を立てながら扉が開かれる。
その先にはクラスメートの皆がいた。
「おー!みんな!大丈夫だったか?」
「あぁ、海斗も無事そうで何よりだよ。」
「やったじゃん海斗、厨二病には最高の状況だろ?」
「んなわけねぇだろ!俺は魔法が使いたいんであって、異世界に行きたいわけじゃないの!」
「まじかよ、それは草ww」
「笑ってんじゃねぇー!つうか知ってんだろお前らは!」
健二が純粋に心配をしてくれたが、翔太はこんな状況でもおちょくってくる。
談笑をしようと話し出したその時、壇上にいたおっさんが持っていた杖で床を叩いた。
「皆さま、お静かに。これより王女エル・カーキン様が参ります。」
そう言った後、ラッパと思われる音が鳴り響く、騒音とも言える大音量が聞こえなくなると同時にドレスを纏った女性が現れた。
「皆さま、どうもこんにちは、私はツブーカホロイ王国の王女、エル、エル・ツブーカホロイです。どうぞお見知り置きを。」
そう言って王女さんはお辞儀をした。
すっげぇ、マジで王女様だ!
「さて、皆さん、色々とお聞きしたいことがあると思いますので、どうぞご質問ください。」
「ここは本当に異世界なんですか!?」
クラスメートの男子が聞いた。
「はい、ここは貴方達のいた世界とは違う世界です。私達がお呼びしました。」
「ねぇ!?帰れるんでしょうね!私達は!帰れないとか言わないでよ!?」
クラスメートの女子が一番聞きたい事を聞く。これは重要だろう、ここで帰らなければただの拉致に他ならない。ただここまでラノベみたいな流れだ、恐らくーー
「結論から言ってしまえば今は帰れません。」
その言葉に全員が静まり返った、ラノベを読んでいたため何となくその事を予測していた俺はその隙に質問を続ける。
「今はって事は、後になれば帰ることが出来るって事ですよね?」
「それは申し訳ないのですが、貴方達の働きにかかっているのです。」
…………………………ど、どういう事だ?
「はぁ!?ふざけんな!」 「うちに帰して!!」 「どう意味だコラァ!?」
流石にこれは場が騒然とした。
王女さんも何か話そうとしていたのだが、煩くて聞こえない。
静かになるまで暫くかかった。
「皆様には本当に申し訳ないと思っているのですが、送還の呪文を使える妹が皇国に連れ去られてしまったのです。私は召喚を、妹が送還を使い戦ってくださる方に協力を仰ぐのですが…」
そう言って王女さんは顔を伏せてしまった、しかしラノベの影響か俺からすると嘘くさく感じてしまう。ただ、みんなはそうは思って無いようで俺が酷いだけかもしれない。
最も、妹が居ないのに連れてきたというのならあまり信用はしない方が良いだろう。
「勿論、何も無しに働いて欲しいとは言いません。私の召喚の魔法に神域を通る様、手を加えました。これによって皆さんは特殊な力を得ることが出来ます。これは皆さんの世界に帰った時も使う事が出来ます。また、妹に頼めば魔法も同じく帰った時に使えるようにする事が出来ると思いますので、どうか妹を連れて帰って来ていただきたいのです。」
王女さんが衝撃的な一言を放った。
おいおい!まじか!魔法使えるようになるのか!
先程の懸念など頭から吹き飛び興奮する。クラスメート達も早速使って見たくてウズウズしている様だ。
俺も魔法が使えるのなら王女妹の奪還もやってやるつもりだ。
「では皆さま、手を貸して頂けますか?」
「おっしゃ!俺はやるぜ!」 「私も!」
クラスメート達はやる気だ。
「ありがとうございます。ではどうぞよろしくお願いします。この後、食事をした後、天の核二時よりこの世界の説明を行いますので食堂に移動を行なってください。」
「天の核?ってなんすか?」
「っと、申し訳ございません。それについてのご説明は天の核二時に致しますので、お部屋でお待ち下さい、メイドが呼びますので。」
こうして謁見の間での話し合いは終わった。
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