何度も何度も連れてきて。
白い机にばらまいたように置かれた紙と羅列される印刷された黒色の文字に私は頭を抱えた。
「リーダー…なぁ…」
あのライトが、踊っていた。
喜ばしい出来事である、
私たちペンギンアイドル、
PIPがPPPになった。
ただ……。
「リーダー、か。」
いや、今までも私はリーダーだった。それが続いてるから別におかしいこともない。だがこの変革はあんまりにも私の背に重く重くのしかかった……。
一番は新メンバープリンセスの教育。
素質はあるがまだまだだ、しっかりと向き合ってあげなきゃいけないし、私にその責任はある。
それだけじゃない、本当にいくつもの改革が加わった。
「がんばらなきゃ、私が皆を200キロのその向こうまで連れて行くんだ!」
落ち込んでちゃあいられない、
私が暗くてどうする!
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「じゃあここの演出は1から4へ一旦移動したセンターのプリンセスさんにカメラを合わせるわね、そのあと2と3の位置のイワビーさんとフルルさんを……どうかしら?」
「うん、すごくいいです。これでいきましょう、とびきりの演出ができそうですよ。」
彼女はマーゲイ。
PPPのマネージャーだ。
「ワタシ……できるかな?」
「俺はロックに映ればそれでいいぜ~?」
「わたしはこれでいいと思います!」
「いい~とおもう~」
ちゃんと聞いてたのは聞いてたようだけれど……
また練習のメニューを組んで、私はこの後にジャイアント先輩に会いに行ってフルルは少し体重を落としてもらえるように……
えっと、なんだっけ。
あぁ、えっと?
「……さん!コウテイさん?」
「ん!?…あ、なんだ?ごめん、なんだ?」
あれダメだ…、
どうしようか。
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彼女は自分の部屋に入った。
まだ時間があるとはいえども焦る。
彼女は伸びをして、布団に体を投げた。
ぼすんと鳴った。
終わっていた。
終わらせてきた。
眠かった。
眠った。
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「大丈夫ですかコウテイさん?」
「心配かけてすまない……。」
わたしは、
コウテイさんの額に冷たく濡れた布巾をおいた。
熱を出したのだ、なんだか今日は辛そうだと思っていたら急にバッタリ倒れちゃうのだからびっくりした。
思えばここ最近は多忙だった、
気づけばそれまでいたはずのコウテイさんが消えるようにいなくなっていたりもしていた。
気付いてあげられなくて申し訳ない…。
「なぁ、ジェーン。」
「なんでしょう?」
こうコウテイさんが言ってくるのは珍しい。
こう、っていうのは不安そうな言い方。
「……私はリーダー出来てるだろうか?」
「PIPのリーダーは、ちゃんと出来ていたと思いますよ?」
「PIPのは……か。」
下を向いた。
落ち込まないでほしい。
「私だって…PPPのアイドル出来てるかわかりません。コウテイさんだって、PPPのリーダーはやったことありませんよね?」
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私は言われてはっとした。
「だからひとりで抱え込んじゃダメなんです。」
「うん」
「わたしたちみんながみんな、PPPの新メンバーみたいなものです。新しくなって私たちは、PIPのメンバーじゃなくなったんです。でも、わたしたちが積み上げてきた物が消えた訳じゃない。わたしはずっとコウテイさんのことを尊敬していますし、イワビーさんやフルルさんの理解者でいたいし、プリンセスさんのお手本でいたい。だからみんなで……このまま、これから、がんばりましょう?誰もまだ正解なんてわからないんです。みんなで正解を見つけましょう?」
私たちは……PPPだ。
私がPPPなんじゃない、
私達はPPPであって、
みんなでやるんだ、
それを引っ張っていくのが、
私ってだけだ。
「ありがとう。」
「いえいえ。それより今はしっかり休みましょう?」
あぁ。
すこし息を吐いた。
布団の外で椅子に座っているジェーンが、
なんとなく、なんとなく。
やさしい母にみえた気がした。
私は目を閉じた。
こんな時にだが、
すこし幸せだった。
次の日の朝。
「ジェーン、おはよう。」
「おはようございます、体調は大丈夫ですか?」
「おかげさまでね、スッキリしたよ」
「よぉコウテイ、大丈夫か?」
「お腹すいてない?」
「無理しないでくださいね、大変だったらワタシ達をどんどん頼ってください。ワタシ、皆さんに追いつけるように精一杯頑張りますから!」
メンバーの顔をみていたら
気が楽になった。
私には…仲間が…
いる。
何度でも考えて。
。
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「……さん、コウテイさん!」
「はぁ…………?」
「もう!お寝坊さんですね?」
口によだれが付いていた、
ねちょっと枕に糸を引いてそのあときれた。
それがアゴに引っ付いた。
「ジェーン……?」
「『ジェーン……?』じゃないんですよ!練習!練習です!もうプリンセスさん物凄く怒ってます!リーダー!どうにかして下さい!!」
「は?……プリンセス?なんであの子が…
それに、今日は…あれ?」
頭が動かない、
私は…何を?
「何を?じゃなくて!!ほらもう30分遅れてます!」
5秒の静寂と、
10秒の咆哮。
私はどうしてしまったんだ、布団を蹴り飛ばすようにして起きて練習のための真っ赤なじゃーじとやらに着替えた。
「ありがとうジェーン起こしてくれて!」
「お礼は後でいいんです!」
「…ありがとう、連れてきてくれて。」
「はい…?あぁ、もういいです!とにかくはやくはやく!」
あたまがぼうっとするけど、
今はいかないと。
そうだ、
私はリーダーなんだ、
いつからかわからないけど、
私がリーダーなんだ。
そんな夢だった気がする、
だから行こう。
私たちのレッスン場に。
「ふぁぁ…寝すぎたぁ…。あれぇ、これコウテイの部屋にあった写真かなぁ?なんでこんなの持ってるんだろう、みんなのクツなんて撮って…」
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