待てと言っても待てないよ。


待てと言っても待てないよ。





「あーん…んまんま…ん~」




大きな口を開けた彼女に、僕はジャパリマンを突っ込んだ。

おいしいと、満面の笑みで食べる。



彼女はフンボルトペンギンのフレンズ。

フルルと呼ばれている。

そして、僕はその辺に居る…。

いや、いないかも知れないな。

まぁ、僕の事なんてどうでもいいさ。


とにかくまぁ、

彼女と縁あって仲良し小好しさせて貰っている人間だということである。

思えば1番最初は、ふんわりと友達の概念で居たんだったな。

僕はいつの間にか惹かれてしまった。

可愛い僕の大事な大事な彼女。可愛い。



「ごちそうさま~…ってどうしたの?」


「あー、いや、別に。」


ジロジロ見すぎたかも知れない。

ごめんね、可愛いのがいけないんだぞ?


「フルルは、君に見られるんだったらいつまででもフルルの事、見てて欲しいなぁ。一日中ずっとでもいいよ?ファンの子に見られるより嬉しいもん。」


ソレはアイドルとしてどうなんだろうか。

でもまぁ、本人がそういうのだ。こちらとしても一緒にいられるのなら嬉しい。


彼女と付き合ってわかった事がある。

まず彼女はわりと喋る。

けっこうおしゃべりだ。

あと彼女はよく人を見てる。

僕がどう思っているかを一発で見抜く。

浮気とか出来たもんじゃないな、と思う。





これ

エロい事考えててわかるモノなんだろうか。

試して見るか。


【あぁ~フルル~可愛いよぉぉ…その綺麗な肌を堪能したいよ~ッおなかなでたいまさぐりたいよ胸も触りたいよぉよふともも触りたいよぉベロベロしてチューしてたくさんしたいよぉぉ!!!!】


うーわ気持ち悪。

自分で自分がいやになるね。

だけど、よくよく考えたらキスは彼女としてのスタートと友人同士としてのゴールの終わりにして、そのまま朝まで寝てたっけ…

テントは寒かったけど、彼女が暖かくて、なんか安心しちゃったんだよな。そう考えると、わりと激しいスタートだったということか。恥ずかしい。



「ねー…あのさ。おんなのこの前であんまりそういう事考えない方がいいよ?顔とろとろじゃん。フルルの前だからいいけど…やっぱり、恥ずかしいよ。」



これは僕に問題がありそうだなこれ。

そんなわかりやすいのだろうか。


「というか、そういう事は、その、面と向かって、君に直に言われたいよ…。しっかりなに考えてたのかわかんないからなんとも言えないんだけど…でも、フルルはね?君を好きになって良かったって思ってるから。だから素直に言って欲しいなぁ…なんてネ?」


素直に言って欲しい…か。


切ない顔で僕にすり寄ってくる。

今、彼女と暮らす為に借りた家の一室、テレビの前においた、がらくた置きの海から救い修理した悪くないソファに座っている。

僕の肩にそっと寄りかかった彼女。

僕は彼女の頭を撫で、頬に少しキスした。


「先に、おへやにいるからね?」









____________________





寝室に入った。いい香りがする。

鼻を通っていく匂いが僕を惑わせる。

彼女は、ゆっくりとこちらを見た。

いつもはじゃぱりまんが咥えられている口に、違う物が。


「…フルル、アイドルだから、さ。その…しとかなきゃ…」


そう言って彼女はヘッドホンをとった。

髪が揺れた。むわりと熱気が解放されたように見えた。


僕はベッドの上の彼女に覆い被さるようにまたがった。

僕だって彼女を大事にしてあげたいのだ。

するものはする。


「いきなりだね…そういう所すき…」


好きだってさ、前は言ってやくれなかったのに。

僕は、控えめな膨らみの彼女を服の上から撫でた。控えめと言うだけで、彼女の顔や性格の幼さからすると、むしろそそる。


性格はそこまで幼くもないか、そう思いながら唇を重ねる。二回三回くらい軽く頬や首にお互いに唇を乗せて、その後舌を絡ませる。粘液の音が脳に徐々に響いてくる。恥ずかしそうにしていた彼女も調子が出て来たらしく、僕をホールドして離してくれないようになってしまった。すぐそばまで来ている目鼻口、彼女を構成する全てのパーツが僕の判断力を壊してくる。


「……へへ、がっついちゃった」


ぷはぁ、と息を吸い込んだ。

とろんとろんに溶けきったアイスクリームのような顔が僕の理性をも溶かそうとしてくる、悪魔だ、悪魔の味がする。

もう僕も溶けきった。


僕は彼女の服を乱暴に脱がせた。

ペンギンのフレンズは、下に競泳水着のような物を身に付けているようだ。

彼女のボディラインがよく分かる、

透けて見える肌色に僕は我慢が出来なかった。

汗で透けている。むわむわ熱気を感じる。

先ほどまで唇同士がくっついていた粘液が糸を引き、そのまま彼女の耳へと動かす。


汗で少ししょっぱい。

凹凸に富んだその形に舌が触れるたびに彼女は、あぁっ、はぁ、はぁ、と吐息を漏らしながら僕のかちかちになっていく一点を撫でる。



びくびくと体が震える、

ソレは僕だって、この子だって。


「そろそろ…しよ…?」



僕は彼女を優しく虐めながら。

彼女は僕を激しく求めながら。


互いに互いの体を撫で合い、唇を相手の様々な部分に重ねた。


柔らかい彼女の感覚は、僕の全てを包んだ。

暖かい。

いや、むしろ熱い。

体を覆う全てが僕達を快感へと導く。


「あぁぁぁっっ!好きだよぉっ、わたしぃ!君がすきっ!」

「僕もっ!すきっ!大好き!」

「ふるるにちょうだい!」

「あぁ!!!全部!あげるっ!」

「はやくぅっ、はやくぅっ」

「いまぁっ!今いくからっぁ…ぁっ!」

「ふぁ…っ!ああぁあぁぁぁぁぁぁっぁああああ!!!!!」












全て吹き飛んでいった、

そんな感覚が僕を襲った。

僕はしばらくの間動けなかった。

プツンと切れた僕の意識は、

体にしっとり張り付く彼女の肌の、

温かい暖かい温度。

涼しい風が汗を引かせ、

ぬるい吐息が僕をまた狂わせる。




















「君の腕の中…暖かいよ…」


「俺も…だよ?」


____________________






























「…よ、おはよ~。起きてよぉ」



ん、僕は…

あのまま…寝たのか。


「んもう…お互いに気持ちよくなったせいでそのまますっぽんぽんで寝ちゃうなんて。恥ずかしいね。

…でもね、嬉しかったよ。」


…幼い子供のような顔をしているクセに、

いちいち大人っぽいの、そういう所…。



そういうところも、

またステージに立てたアイドルなんだろう。






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