第5話 残された者達
魔皇国マーロリスは、悲しみに包まれていた。
魔皇国の帝都マーロスでは、大通りを数千の亡骸のない棺達が、魔皇国の兵士達で担ぎ弔いの列を成していた。
それを魔皇国女帝マリアと、次の女帝にして皇女のシャリアが臣下達と共に、皇帝城から見下ろして冥福を祈っていた。
巨大な葬儀の最前列には、その亡骸がない数千の兵士を率いていたニルバルの娘シャルナと、ニルバルの妻のカテジナが、夫の亡骸がない棺の横で付き添い喪に伏していた。
葬儀の列は、帝都マーロスの巨大コロッセオに到着、コロッセオを使った巨大な葬儀は静かに流れていく。
ニルバルの棺の隣で妻カテジナは涙して、シャルナは意固地な顔で固く手を握っていた。
父ニルバルは、ちゃんと帰ってくると約束してくれた。
魔皇国で最強の四騎士とされる称号を持ち、ニルバルが抱える部隊は、特別な訓練を受けた優秀な兵士達だった。
それが全滅した。
生き残ったのは、アルファードを含めて十数名。
大損害と共に、今後の魔皇国での戦力低下は確実だった。
コロッセオでの弔いが終わり、空の棺は…火葬場で焼かれて弔いの海岸へ放たれる。
その弔いの海岸にある大教会に、冥府に行ったニルバル達の名前が記された。
ニルバルの娘シャルナは、何時までも怒りを込めた顔をして、涙を流さなかった。
葬儀が終わり、皆が大教会から帰る時、シャルナと母カテジナにアルファードが近付く
「シャルナお嬢様…。カテジナ奥様…」
アルファードは足を引きずって二人に近付く。
黒の喪服のアルファードをシャルナは見て
「どちら様でしょうか?」
アルファードが頭を下げ
「最後まで生き残ってしまった。不甲斐ない兵士の一人です」
カテジナはハッとする。僅かに生き残った兵士の一人だと。
シャルナもそれを理解して、アルファードに近付くと
「ねぇ…どうして? どうして! お父さんは死んだの? お父さんは最強の一人だったんだよね! どうしてーーーー」
と、アルファードの胸を叩いてしまう。
それをカテジナが
「止めなさいシャルナ」
と、アルファードから離した次に
「う、あああああああ」
シャルナは涙を零した。
やっと涙がこみ上げ来たのだ。
シャルナとカテジナは、アルファードと共に近くのベンチに座り
「シャルナお嬢様、貴女にお渡しする物があります」
と、アルファードはシャルナの前に立ち、懐からデウスギアから渡された金貨の袋を差し出す。
シャルナが受け取り
「これは…」
アルファードが怒りの顔をして
「ニルバル少将を殺した者から貴女に渡すように…と。そして、何時か…それを返しに来いと…」
シャルナが、その金貨を握り締める。
父を殺した憎い復讐相手からのプレゼントに、憎悪が滾る。
シャルナは強く握り締めて
「私に復讐しに来いという事…」
アルファードは厳しい顔で
「相手は、強大です。ニルバル様の全ての召喚獣を使っても全く歯が立ちませんでした」
シャルナは、自分の右手の甲を見る。
父が死んだ事で、自分に継承された召喚獣五体の証があった。
シャルナがアルファードを見詰めて
「敵の、相手の名は!」
アルファードが厳しい顔で
「デウスギア、異界渡りをした強者です」
シャルナがデウスギアからのプレゼントを睨み
「いいわ。必ず近日中に、目の前に来て…これを叩き返してやるわ」
シャルナは父を殺した者への復讐を誓った。
それは、デウスギアの予定通りの行動だった。
◇◆◇◆◇◆◇
デウスギアは、エデンズ・アークに戻りエイソル村周辺の状況のデータを王座で見ていた。
デウスギアは眉間を腕の一つで押さえる。
魔皇国ニルバルの部隊によって蹂躙された村落は六つ、その全てが再建不能だった。
六つの村落の内、二つ村落の生き残りは一割未満、全て皆殺しにされている村落が四つ
「ヒドい…」
と、デウスギアは告げる。
何も抵抗する事が出来ない民達を虐殺したのだ。
それは、地球の時にあった粛清と同じだ。
ここでも人の残虐な面を見て、デウスギアは心が痛い。
そこへ、ミラエルが来て
「デウスギア様…」
デウスギアは正面のミラエルを見詰め
「どうした」
ミラエルが苦しそうな顔をする。
デウスギアの顔が悲しみに染まっているのだ。
ミラエルが傍に来てデウスギアの右手の一つに触れ
「何か、お辛い事でも」
と、ミラエルが告げつつ、デウスギアが見ていた壊滅した村落達のデータに
「ああ…その、デウスギア様が見ていました。壊滅した村落の生き残りについてですが…。唯一村民の多くが無事だったエイソル村に集めようと思います」
デウスギアは肯き
「そうだな…それしかない」
壊滅した村落にいても人口が増える予定もない。外から人を入れるにしても、それに今回の戦いにあった魔皇国の移民や、別の国の移民が混じるとなれば、それなりに大きな問題を孕むだろう。
地球の時もそうだが…移民問題は、雇用や経済には、大して事ではない。一番の問題は、治安と文化だ。
管理出来ない人数が入り込むと、どうしても治安が悪化する。そして、文化の違いから衝突も増える。
故に、移民の為の街と、地元住民の町とで分けて、ぶつからない距離を保ちつつ、時間を掛けて融和を行うしかない。
幸いな事に、エイソル村と他の六つの村落とは繋がりがあり、文化的にも共通がある。
今後、治安は、自分達の力も貸しつつ、早急に住居を再建させ、住みやすい様にすれば、大きな問題は起こらないだろう。
デウスギアは王座から立ち上がり
「ミラエル。エイソル村に行きたいが…」
「はい。行きましょう」
と、ミラエルが手を取ってくれた。
◇◆◇◆◇◆◇
ミラエルと共に、デウスギアはエイソル村に来ると、ルシスやダイダロスの二人が主導で、村落の家を再建していた。
そして、新たに移住してくる他村落の生き残り達が住む、家々の建設も行っている。
基礎の部分は、エデンズ・アークで作り、そこをダイダロスのマキナ種の機神達があっと言う間に整え、基礎をしっかりと埋めて設置、家の部材、柱や壁、屋根を設置、内装は、マキナ種で工作な得意な機神達が素早く行い、一日くらいで完成させる。
家を建てるのは、我々、エデンズ・アークの者達に任せて村人達は、壊滅した畑や漁に使う船の再建を行っていた。
それを指揮、手伝っているのはリグレット王女達の一団だ。
リグレットは、自ら技術者達を集めて、村人と共に、漁の船や波止場を直す事をしている。
そして、この世界のキリスト教の教会みたいな女性、修道女達も連れてきて、ニルバルの部隊にいた時にヒドい事をされたトラウマや、家族を殺された者達のケアを行って貰う。
無論、その拠点として教会をデウスギア達は建てた。
デウスギアがミラエルと共に、村の中を歩いていると、子供達が、デウスギアを見つけて駆け付け
「おじちゃん、手に乗せて!」
と、せがんだのでデウスギアは
「はいよ」
と、子供達を大きな手に乗せてメリーゴーランドをする。子供受けは抜群だった。
そしている所に空からルシスが来て
「デウスギア様」
「ルシス、お疲れ」
と、デウスギアは子供達をメリーゴーランドしたまま、応対する。
ルシスが
「大方、村の建物の再建は終わりそうです。今後の事を考えて、ダイダロスが、数名の防衛用ゴーレム達を常備させて置きたいと…」
「村人達は、どう?」
「村長以下、村人達は賛同しています。また、あのような悲劇が起こって欲しくないそうですから」
「そうか…」とデウスギアは肯き「で、我々の拠点は?」
ルシスが教会の隣を指差し
「あそこに…。今後、村で生産された余剰物資を保管、販売運搬する拠点と、もしもの場合のシェルターにします」
デウスギアは首を傾げ
「その拠点で雇用する人員は?」
ルシスが手を拠点に向け
「拠点の中に…」
デウスギアは子供達とバイバイして、ルシスの案内で、ミラエルと共にエイソル村拠点に来ると、そこ中であの姉妹の姉アンナと、ニルバルに掴まっていた女子達が管理をしていた。
アンナがデウスギアに気付き
「こんにちは、デウスギア様」
デウスギアがアンナに微笑み
「そうか…君達が管理を…」
「はい」とアンナは微笑む。
デウスギアが
「何か困った事があったら、遠慮無く言ってくれ」
アンナは、頭を下げ
「本当に色々な事を助けて頂きありがとうございます」
デウスギアは大きな右手の一つをアンナの肩に置き
「いいよ。こっちこそ、今後ともよろしく」
次にルシスと共に、拠点の隣にある教会に来ると、そこの修道女達のリーダー、修道女司祭が顔を見せてくれた。
デウスギアは、教会に修道女司祭?が浮かぶ。
あれ? シスターって司祭になれるの?
疑問がわき起こるが、ここは地球ではない。それがこの世界の常識なのだろう…と受け入れた。
修道女司祭が頭を下げ
「本当に、この村をお救い頂きありがとうございます」
彼女の年齢は三十代後半くらいだ。
デウスギアは右手の一つをあげ
「いや…もっと早く事態に気付いていれば…多くを」
修道女司祭レミアは顔を上げ
「彼女に聞くと」とルシスを示し「まだ、この世界に来て間も無いと…それでは仕方ないと思います。それでも…これ程のご尽力、ありがたい事です」
ルシスが
「まず、拠点で生産されたモノを、教会を通じて販売する事から始めます。突如、現れた我々が販売を行っても信用はないでしょうから…。この世界で信用がある教会の信頼を得て、その後、個々で販売を行います」
デウスギアは渋い顔をする。
まあ…確かに、新参者は警戒される。それは、どの場所でも同じなんだなぁ…。
修道女司祭レミアが
「まずは、回復薬のポーションや、食料、病気等の治癒薬の製造になってしまいますが…」
デウスギアは肯き
「ああ…構わない。今後とも長い付き合いをよろしく頼む」
修道女司祭レミアは、頭を下げ
「ありがとうございます。では、今度とも、よろしくお願いします」
デウスギアは、挨拶を済ませて村の中を歩くと、村人が気軽に手を振ってくれるので、デウスギアも気軽に手を振っていると、子供達がまた来て、先程のメリーゴーランドを所望して、村を歩きながら子供達を乗せてメリーゴーランドをする。
そして、波止場を村人と直しているリグレットに近づき
「王女なのに、そんな事をして良いのかね?」
と、デウスギアが尋ねる。
リグレットが泥を鼻に付けた顔を向け
「デウスギア殿…」
デウスギアに駆け付ける。
リグレットとデウスギアは気軽に話し合う。
今後の村の事や、村の生産物を売るルート等、多岐に渡り話してリグレットは
「私は、母が庶民の娘だ。王位には付けない。なら、庶民の娘らしく、民達と共に何かをやるだけだ」
その顔は、キラキラと輝いていた。
デウスギアは微笑み
「何か助けが欲しいなら言ってくれ」
リグレットが、デウスギアの大きな足に手を触れ
「デウスギア殿こそ、このサマリアで何かするなら、私の助けが必要でしょう。何時でも力になりますから」
デウスギアはちょっと微妙な笑みをして
「そうですね。確実にそれはありそうだ」
村の復興状況を確認したデウスギアは、エデンズ・アークに戻り、何か使えそうな技術をデータルームで探す。
「さて、この魔法世界で…」
と、三対ある巨腕を膨大なデータを収める柱型のコンピューティングシステムに繋いで、検索を開始すると…
「ん?」
とある項目が出て来た。
デウスギアになった中山 充殿へ
こんにちは、このたび、彼の所為で、私が蒔いたザラシュストラの種(シード)を覚醒させ、デウスギアとなった中山 充殿よ。
この返事を見ているという事は、上手く合一出来た事を喜ばせて貰おう。
君の持ち物であるエデンズ・アークは、こちらの世界では、
エデンズ・アーク型軌道エレベーター・コロニーという名称で通っている。
君が日々、開発してくれた技術を我がヴィクターインダストリアルの、デウスギア部門として有効活用させて貰っている。
つきましては、その報酬として、今後のヴィクターインダストリアルの技術提供と、君と何時か会える事を楽しみにする為に、時空記述、高次元領域に関する記述を残して置く。
これをどう使うかは、君次第だ。
このまま、エデンズ・アーク型軌道エレベーター・コロニーを増やして、そこの宇宙を開発するも良し、私や彼を追って時空を移動するのも良し、それか…君なりの第三の道を歩むも良し、だ。
では、これにて…ヴィクターインダストリアル社、総帥ヴィクターより。
デウスギアは鋭い顔をする。
そのメールにあった日付がとんでもない事だったからだ。
UN世紀 11945年 12月25日
M83銀河航行中のヴィクターインダストリアル社 本社宇宙戦艦 曙光より
デウスギアは、右腕の一つで顔を覆う。
UN…宇宙的…世紀?
自分はどんな存在と、どのようになったのだろうか?
頭が混乱しそうになるも、とにかく…気持ちを落ち着ける。
当面は、この世界についてどうするか?だ。
それに集中しようと…。だが、何れは…。
◇◆◇◆◇◆◇
デウスギアは、通路を進みながら自分の大きな装甲の手を見る。
三メータ半の巨体、三対の装甲の腕、キャタピラの如き足、一応、肉体的な胸部と頭部はあるも、背中は装甲と多結晶の翼。
完全に人外だ。しかも、前の人の肉体のように違和感がない。
これが、あのヴィクターという人物が言っていた、馴染んだという事か…。
もう、人間には戻れない事を何処かで理解している。
どんな機能があるのだろう?
自分の機能にアクセスしてみる。
デウスマギウス・ゼオンロード。
レベル∞、強度∞、体力∞、回避力500
え、回避力、メチャ低い。まあ、強度は∞だから問題ないか…。
魔法力、腹部にある魔導エネルギー生成炉と高次元システムにより、際限なく発生可能
んん…本当に、人間ではないなぁ…。
攻撃システムは…100種類ある。全部に目を通すのは厳しいが、オートで最適なモードを選んでくれるようになっている。
あとは…人型モード
なんと、一応、前の人だった時の姿になれる。
へぇ…意外と気が利いている。
そして、繁殖モード
え?
繁殖モードになる為には、人型モードになるしかない。
……
その繁殖モードの取説とセンサーを入れたままにしていると…
『デウスギア様ーーー』
と、ミラエルとルシスの二人が来る。
デウスギアが二人を見ると、繁殖モードのセンサーが、ルシスとミラエルと示し繁殖可能と、表示した。
デウスギアは、そのセンサーのスイッチを切った。
色々と個人として問題が発生しそうだったから…。
デウスギアが二人に近付き
「どうした?」
ミラエルとルシスが顔を合わせ
「その…新たな技術更新とありまして、エデンス・アークに連なっているコロニーの一つに、妙なプラントが…建造され始めて…」
と、ミラエルが告げる。
「なんでも、ラピュータなるモノを建造する設備らしいですが…」
と、ルシスが告げる。
デウスギアが渋い顔をして
「分かった。直ぐに行く」
デウスギアは察する。おそらく、ヴィクターインダストリアル社からの…。
二人に連れられて、その建造設備へ向かった。
ミラエルとルシスと共にそこへデウスギアが来ると、様々な部品が飛び交い、直径300メートルの円型建造システムが誕生しようとしていた。
その建造システムが作り出すモノは、高圧高温資源開発空中コンビナート、ラピュータというモノだ。
ラピュータは、活火山に十メートル幅の大型採掘ドリルを突き刺し、活火山にあるマグマを採取して、必要な資源を採取、精錬、精製する資源コンビナートらしい。
地球でいうなら、バケットホイールエクスカベーターと製鉄所をドッキングさせた施設らしい。
「この世界で資源開発しろってか?」
と、デウスギアは、ぼやいた。
なんか、都市型シュミレーションゲームのように、エデンズ・アークが強化される様子に、本当に現実か?と疑ってしまい、自分で自分の顔を抓るも、痛かった。
やっぱり現実だった。
慣れるしかないか…。
◇◆◇◆◇◆◇
さて…この後、どうしよう…と、デウスギアは王座がある水晶の宮殿で、右往左往と歩きながら考える。
「やっぱり、現地を肌で感じて動くしかないよねぇ…」
一人で動いても良いけど、やっぱり数人、最低でも二人以上は…。
考えている前に、ルシスとミラエルが来る。
「デウスギア様。最近、完成したラピュータ建造システムについてですが…」
と、ミラエル。
「デウスギア様。エイソル村の復興と援助に関する資材や技術に関して…」
と、ルシス。
デウスギアは二人を見詰めて
「二人とも…忙しいか?」
ミラエルとルシスは瞬きする。
「実はな…」
と、デウスギアは、自分が現地での事を肌で感じる重要性を伝える。
ミラエルは肯き
「確かに、デウスギア様の言う通りですね」
ルシスも肯き
「まあ、そうですよね。雷神達が集めるデータだけでは、判別できない事はありますから…」
デウスギアが、右腕の一つの一差し指を立て
「そこでだ。私は人型に変形して、鎧を纏ってこれから外で活動しようと思う」
ミラエルが
「でしたら、護衛が…」
デウスギアは肯き
「そうだ。そこでだ。その護衛にミラエルとルシスを指名したい」
『え!』とミラエルとルシスは驚きを見せる。
デウスギアが冷静な見地で
「何があるかは、分からないのが現地だ。そうなった時に守りを十全としたので、エデンズ・アークで最強の一角である二人を連れて行きたいが…」
ミラエルとルシスは固まっている。
それを見てデウスギアが
「どうも…忙しそうだから…。他の候補を…」
「いいえ! 絶対に志願します!」とミラエルが激しく挙手する。
「デウスギア様のやりたい事を支援するのが、わたくしの仕事です! 超絶について行きます!」とルシスが両手を挙げてアピールする。
デウスギアが戸惑い気味に
「え、でも…抱えている仕事が…」
ミラエルがバタバタして
「大丈夫です! 代理の者に任せられますから!」
ルシスも激しく肯き
「わたくしも、同じく代理の者に任せられますから!」
そこにバエルが来て
「何ですか? 二人とも騒々しい」
バエルがデウスギアの前に来て
「デウスギア様、これがリグレット王女の国、サマリア王国周辺の現状です」
と、サマリア王国周辺の国々の状態を示したデータの端末を渡す。
デウスギアは、そのデータをダウンロードして瞬時に解析し
「成る程、やはり、現地を感じて活動する必要性の高さが益々、上がった」
バエルが
「ミラエル、ルシス。確かにデウスギア様を前に騒ぐ君達の気持ちも分かるが、デウスギア様を煩わせるのは止めてくれ」
ミラエルがバエルに近付き
「違うのよ。実はね」
と、デウスギアが外で姿を隠して活動したいので、その付き添いと護衛を自分とルシスに指名しているのを聞いて。
バエルは眼鏡を押さえて
「確かに、デウスギア様のお考えはごもっともです。付き添いにミラエルとルシスを選ぶのも間違いないでしょう」
デウスギアが
「二人が抱えている仕事に関して…」
バエルが笑み
「大丈夫ですよ。代理も立てられますし…何よりデウスギアが作ったエデンズ・アークの力があれば問題ありません。もっとご創造してくれた我々を頼ってください」
デウスギアは肯き
「そうか、では、存分に頼らせて貰おう。ミラエル、ルシス、よろしく頼むぞ」
ミラエルとルシスは、飛び跳ねて喜び
『はい! お任せください!』
と、声を張って答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます