第8話

初恋が終わって、数ヶ月。ワタシは、まだ朝刊を玄関前で待っていた。正直辛かったが、3年も続けた日課は、最早止められない程に、ワタシの生活に根付いていた。

新聞はアイツの父親が販売店を閉めたことにより、やむを得ず別の販売店の新聞になった。当然、配達方法も配達員も配達員が来る方向も変わった。現在は、カブというバイクで高校生ぐらいの男性が、アイツとは真逆の方向から新聞を届けてくれる。ワタシは、男性と挨拶を交わして新聞を受け取り、直ぐに家の中に入った。ただ最近、その男性はワタシが家に入ったのを確認してから、去っている事に気づいた。

ワタシは玄関に置いてある鏡を覗き、自分の姿を確認したが、可笑しな所は無かった。

「あの人、何なんだろ?」

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