第9話

高校生になった僕が、人生初めてのバイトにしたのは、新聞配達だった。

折角4月生まれを活かし、クラスの誰よりも早くバイクの免許を取ったにも関わらず、僕には、肝心のバイクが無かった。その為にバイトをしようと色々応募してみたが、唯一採用されたのが新聞配達だった。

毎朝3時から200軒以上の家に新聞を配って、日に5000円稼いでいたが、目標金額は、30万円。道のりは、遠かった。

しかし僕には、そんな道のりを楽しめる目的が出来た。

「バイクを買ったら、彼女をツーリングに誘う!」

毎朝、自分の家の玄関前で朝刊を待っている女の子。歳は、明らかに中学生ぐらいだが、僕よりも一回りも大人に見えた。時折見せる寂しそうな表情を、気だるそうにして隠し、平然と朝刊を受け取って、家の中に去っていく。そんな姿に惹かれて僕は、彼女に恋をした。そしてこの恋は、僕にとって、初めての恋だった。

それから何ヶ月か経ち、僕と彼女は、お互い見かけたら挨拶を交わす程、親しくなった。

そして今日は、彼女と挨拶を交わし後、二言三言会話をした。天気と気温の話だったが、それでも僕にとっては、大きな進展だった。

「目標金額までは、後少しだ!」

僕は、カブのスロットを目一杯回し、次の配達先へ向かった。同時に彼女との楽しいツーリングをしている未来に、想いを馳せた。

これが、僕の初恋の始まりだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

こうしてワタシの初恋は終わった。そして… 川崎涼介 @sk-197408

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ