八つの国について
前述したとおり、この項では世界にある八つの国について記載する。正直、前置きはするだけ無意味なのでいきなり説明に映らせてもらう。
・魔法の国
どの国から書くか迷ったが、やはり母国である魔法の国から書いていくとしよう。この国は魔法を使用するために必要なエネルギー源、マナが多く点在していることからそう名付けられた。マナについては魔法の項目で再び触れることになるだろうが、一応説明を加えておく。
マナとは、自然界の全ての物質や生物に宿る実態を持たないエネルギー体のことである。当然、我々の体の中にも少なからずマナは宿っているが、その量は個体によって違う。
しかし、魔法の国で生まれた生き物は、みな膨大な量のマナをもって生まれることが多い。生き物に限らず鉱物や植物も、である。
首都には、その名を取って〝マナ・ドルド〟という名がつけられた。ここでは、混同しないようにドルドと呼ぶことにする。
ドルドには、大きな魔法結界が町を守っている。別に、魔法が扱えなくても通るだけならだれでもできる結界だ。この結界を通り過ぎて中に入ると、すべての生き物は邪心(悪い心)が引きずり出される仕組みだ。この結界は非常に強力で、普通に生きてきた人間でさえ、通り抜けると数時間はひどい立ち眩みに悩まされるだろう。これは、通った人間の中にわずかにあるいたずら心やネガティブな感情が全て引き抜かれた反動である。このこともあって、この町は世界で一番平和な街ともいわれている。
強力な結界、といっても距離に限界はある。町を出たら、三時間ほどでもとの性格に戻るだろう。一度この結界を通ったからと言って完全な善良人になれるわけではない。
・技術の国
この国は、世界で最も技術が発展している国で、〝科学兵器〟を用いて戦う人形たちがいる。この国の人間はみな聡明で、思いやりのある優しい人達だ。私も、この国に初めて訪ねた時もこれ以上ないくらいに優しく接してくれた。なんでも、〝おもてなし〟という精神が国民に根付いているのだという。
この国を警備しているのは人間ではなく、彼らが作った人形たちだ。サイズは様々で、私と同じくらいのサイズの物から、手のひらサイズの人形もいる。サイズによって任務が異なるらしいが、外国人には教えられないそうだ。
・黄金の国
世界の資源の大半がこの国でとられている。砂漠の国と同じ島にあるので、気候は全く同じで、砂漠が広がっている国だ。国同士の関係でいえば、隣国の砂漠の国よりも技術の国と仲がいい。そのため、この国は技術の国製の警備人形たちが多く見受けられる。黄金の国が資源を渡し、技術の国が見返りとして人形たちを提供していることは想像に難くない。
・太陽の国
正直、これまで訪れた中で私が最も行きたくなかった国はここだろう。この国は人間の旅人にこそ優しいものの、異種族となると目の色が変わる。
彼らは〝カミサマ〟と呼ばれる何かを信仰しており、そのカミサマの教えによると、人間こそ至高の存在であり、他の種族はとるに足らないものという考えが広まってしまっている。
そのため、この国では獣人や妖精の奴隷をよく見かける。そのうえ、治安もあまりよくはない。この国に訪れること自体オススメできないが、仮に来るとしても三日以上の滞在は自殺行為だ。やめておいたほうがいい。
私は(おそらく読者の皆様も大半はそう思ってるかもしれないが)カミサマと呼ばれるものが実在するとは思っていなかった。しかし、その国には本当に存在するのだ。私は太陽の国に滞在しているときに一度だけ見た。圧倒的な威圧感、他を圧倒するほどの迫力。一目見て、これがカミサマか。と理解した。この国に新たに入った人間を入国してから三日後に自身に酔狂させるという力があるのだろう。私は悪寒が走り、すぐさまその国を出た。
・砂漠の国
国土全てが砂漠のため、気温の日較差が激しい。この国にくる際は長そでの着用をお勧めする。日中こそ暑いかもしれないが、素肌を外にさらけ出していると日光で皮膚が焼けてしまう。それに、夜はマイナスになるくらい寒くなる。砂漠とはそういう場所だ。厳しい環境のせいか、他では見られない珍しい生き物も多く住んでいる。
最近では黄金の国と統合するとかしないとか話しているそうだが…
・中立の国
名前の通り、世界の中立的立場をとっている国だ。戦争の際、どこの国にも協力せず、敵対しない。この国は、国民全員が武装を許可されている。一見治安が悪くなりそうな政策だが、一人が騒ぎを起こすと警察よりも先に近隣の住民たちによって制圧される。すぐ隣に武器を持った人間がいるのだから、そう簡単に悪事を働こうなんて思う人はいないだろう。
・月光の国
この国は、人間の少数民族のあつまりで、地区ごとに法律や規定、マナーが違う。この国は小さな島々の集まりで、一つの島に一つの部族が住んでいる。部族ごとのルールやマナーを知らないと楽しめるような場所ではないが、見識が広がるという意味では訪れても損はないと思う。
また、この国ではなぜか太陽が昇らず、月が沈まない。その幻想的な風景を体験するために訪れてもいいだろう。
追記__海歴310年代にこの国は消滅する。原因は不明。
・獣人の国
最後になったが、この国は最近できたばかりの国で、数年前に太陽の国の奴隷だったある獣人が反旗を翻し、国を建てた。私としてはとても応援したい。だが、当然のことながら太陽の国の連中はこれをよくはおもってないだろう。何もないといいが…
次回は、目次の通り不思議な力について記述していくつもりだ。
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