第4話 更科尼の呼び出し
宗次郎の行方が分からずやきもきをして過ごしている中、店の前に
空蝉は、更科尼と呼ばれる尼の使用人だが以前は忍びか泥棒か、人も殺めたことがあるだろうと思われるくらい、気配を消せる男で、番頭は特に苦手意識を持っていた。「あの人と目が合うと殺される」という恐怖で、姿を見ると背筋が寒くなった。
詩乃は空蝉の姿にため息をつき、外に出る。空蝉の案内で、更科庵。更科尼の住んでいる庵―というには十分すぎるほど武家屋敷なのだが―に向かう。
涼しい風が吹く竹林を抜けて少し坂になっている場所にある門をくぐる。
案内された表の間にはすでに更科尼が座っていた。
「伯母上様に置かれましては、」
詩乃は全く抑揚も感情もつけずいうと、
「そんな適当な言葉は聞きたくないわ。さっさと座りなさい」
と言い放つ。
詩乃は座敷に入り、座布団を横に避けて座る。
「先だっては苦労を掛けた」
「私は何も、知り合いに声をかけたぐらいで……、田崎様にはあまりいい報告はできず、」
独り身の女が誘拐された事件で、田崎家の一人娘の真咲様が誘拐され、それを岡 征十郎に捜査させるよう依頼されたのだが、真咲様は長崎にて死んでいた。その事実が解る少し前に唯一の肉親である母親も病で亡くなるという不幸があった。
「あれはしようのない出来事です。真咲様は武士の娘として立派だったと聞きました。それに、ちゃんと調べてくれたようですしね」
「私ではありませんが」
詩乃はここでは普段の呼称「あたし」ではなく「私」という。さもないと、目の前の尼がねちねち説教をすることが解っていたからだ。
「それで、今日は?」
「わたくしの知り合いの奥方の容態を見てほしいのです」
「伯母上の知り合いというのは?」
「旗本の筒井様のお年寄り辻本様の奥方のわかさん」
「なんて人を、あたしが診れるわけないじゃないですか」
詩乃が口に手をあてがい首をすくめた。
「筒井様は今大事な時期で、薬師を近づけたくはないのです」
「なおのことですよ」
「あなたは薬屋というけれど、さほど流行ってないし、信用もされていないじゃないの。暑気払いの飴? 飴売りとして屋敷に入ればいいわ」
「無茶な、」
「一大事なのですよ。わたくしには解るのです。わかさんはよろしくない状態なのだと」
詩乃はため息をついた。更科尼が言い出したら撤回もしないし、行動しなければ延々と言い続けることも解っている。
「では、何とか入れるよう手はずを整えてください。そうでないと、私では入れませんよ。飴売りでもです」
更科尼はいい案だと思ったのに。と言いながら、紹介状を二通書いた。一通には、更科庵出入りの薬屋で、奥方が以前言っていた美肌なる薬を所持する。という門番以下警備人に見せるものと、是非に診察を受けるようにというわか宛のものの二通だ。
「詩乃、すぐに行動ですよ」
詩乃は嫌そうな顔をして空蝉と一緒に旗本筒井家の屋敷内にある辻本家へと向かった。
詩乃は半歩下がって歩く空蝉を気にしながら歩いた。
「なかなかね、」
言葉を切ると、空蝉がよく聞こえようとして前屈みになる。
「普段、誰かが後ろを歩くことはないから、歩きにくいなぁと思ってね」
空蝉は何も言わず顔をくしゃっとさせただけだった。
「おや?」
大通りの小間物屋の前に―このところよく表通りで岡 征十郎に会うものだ―。と思いながら近づこうとすると、今日は連れが居るようで、立ち止まって行きすぎようとすると、こういう時に向こうがよく見つけるものだ。
「お詩乃? またお前、会合か?」
岡 征十郎のイヤミに、「あら、お暇なお上」とつい言ってしまう。
岡 征十郎の隣に居る人に会釈をすると、
「征十郎の従兄で橘 恭之介と申す。そながた例の薬屋の女将か?」
「……例かどうか知りませんが、薬問屋六薬堂の詩乃です」
「失礼。思うていたほど変な女ではないようだが?」
恭之介が岡 征十郎のほうを見る。岡 征十郎は「変な女ですよ」という。
詩乃は鼻を鳴らし、「今日こそはお母上様への土産ですか?」と聞くと、
「いや、私の許嫁への品を、征十郎に聞けばいいものがあるというので……そうだ、お詩乃とか言いましたか? あなたの意見を聞きたい。どうも、男が選ぶものは無粋なようで」
恭之介はさわやかな、本当に清々しく言った。詩乃はその顔に笑顔を引きつらせ―まぶしい。こんな男がいるもんかね―彼らが見ていた品台のほうを見てから、恭之介のほうを見た。
「いろいろいいものがありますね……。ええ、確かに、男が選ぶものときたら本当に不格好で、いいモノなんかありゃしませんけどね、……好いた相手が見繕ってくれたものは、どんなものでもうれしいもんですよ」
詩乃はそう言って微笑んで見せた。
恭之介は少し顔を高揚させ、それからしばらく見ていたが、
「やはり、最初に気に入ったものにしよう」
と、赤い紅葉をあしらったかんざしを手にした。
「素敵ですね。その方はとても赤が似合う方なんですね」
「あぁ。名は翠というのだけど、赤のよく似合う人なんだ」
「旦那とお似合いですよ。旦那はどちらかと言えば茶や灰色という印象ですからね」
「……それは地味だとけなしているのか?」
岡 征十郎が不機嫌そうに言う。
「バカだね。……地味というのは、色を持たないものを言うんだよ。茶だって、灰色だって色がある。渋い色というんだよ。落ち着いていて、激昂せず冷静。ととらえたらいい色だろ? 赤のように激しい色には、落ち着いた色が相性がいい。人にもねそれぞれ色やにおいや形があって、それがそれぞれの相性を決めていたりするんだよ」
詩乃は岡 征十郎のほうを見上げる。岡 征十郎は鼻を鳴らして不服そうな顔をする。
「では、お前たちの相性はかなりいいのだろうな」
恭之介の言葉に、詩乃と岡 征十郎は同時に恭之介を見る。
「何を!」
岡 征十郎が反論した時、
「翠!」
恭之介が声を上げた。振り返れば上品な色合いの着物を着た美人が小走りにやってきた。
「こちらは六薬堂のお詩乃さん。翠だ」
「翠でございます」
「あ……詩乃です」
「そうだ、これを買ったところなのだ」
そう言ってかんざしを翠に見せ、そのまま頭に飾ってあげた。翠は店の店主が翳している鏡をのぞき、微笑んで、
「ありがとうございます。恭之介さま」
二人がほほ笑みあうのを見ながら、詩乃が隣に立っている岡 征十郎に小声で、
「お前の従兄か? やけにあけすけだな」
というと、岡 征十郎も「こういう人だとは思わなかった。相手によって変わるものだ」といった。
「ところで、ここでは何ですから、お茶菓子でも食べませんか? 近くにおいしいお菓子のお店があるんですよ」
翠はそう言って詩乃のほうを見てほほ笑んだ。
「いや……、いかん。あたしゃ使いの道中だった」
かなり離れたところに居る空蝉を見つけて思い出した。
「あぁ、そう、使いの最中だったんだ……。おいしいお菓子というのには心惹かれるんですけどね」
詩乃がそういうと、翠はひどく残念そうな顔をし、
「では、後日行きましょ。その時は殿方なしで」
と微笑んだ。
―いや、あんた武家の娘だろ、商家の女と一緒だなんて―と思ったが、翠は
「わたくし、詩乃さんと気が合いそうですわ」
とにこにこと笑った。裏のない笑顔に詩乃の顔が引きつる。
とにかく行かなければいけないので、と顔を引きつらせながらそこを立ち去る。
岡 征十郎がそっけなく相槌を打ったが、詩乃の行く手に空蝉を見つけて、少し真顔になった。
「ん?」
恭之介の音に岡 征十郎は少し微笑んだ顔を戻してみれば、恭之介は別の場所を見て首をかしげていた。
「どうかしたんですか?」
「いや……、見知った顔が居たようだが……。見間違いだろうか?」
「どなたですか?」
「同期のやつなのだが、非常に出世して、今長崎奉行所勤めをしているんだ。頭がよくて、なかなかの切れ者なんだ」
三人が同じ方を見るがそこを行き来しているものに知った顔はなかった。見間違いだろうということになり、翠の提案で茶屋に行こうとなったが、岡 征十郎も休憩の交代の時間なのでと切り上げた。さもなければ、この二人に当たられっぱなしになる。翠は残念そうな顔をし、恭之介はまた家のほうに行くと挨拶をして別れた。
詩乃と空蝉と旗本筒井家の所有する武家長屋の小路を、辻本家のほうに歩いていた。奇妙な二人組に武家長屋のそれぞれの屋敷の門番たちが怪しく見ている。
詩乃はため息をつきながら―だから嫌なんだよ―と歩く。
辻本家の家は筒井家の家臣の中でも大きな屋敷だった。立派な門構えに、門番が二人も居て、中に話をつけてくれた。その際、更科尼が書いた、「美容薬の販売」を疑いもなく奥へと話が通り、すぐに中に通してもらった。
だが、通されたのが客間である表ではなく、奥方のわかの寝室には正直驚いた。
空蝉が庭に面した廊下に座った。
「あ、……更科尼様からの使いで参りました。六薬堂の女将、詩乃でございます」
廊下であいさつをすると、寝ていたわかが侍女に支えられて起き上がった。
瞼が赤くはれているのは泣いた後のようだ。着物から出て見える腕や手はそれほど気にするものではないが、起き上がって解るが腹周りが非常に大きいように思える。
「中へ」
言葉を発するのも窮屈そうな印象を受ける。
詩乃は部屋に入る。
「更科尼様の使いだと聞いたが? 更科尼様のお加減はいかがだろうか?」
「はい、お元気です。病気知らずです」
元気すぎて困ります。と付け加えたくなるほど元気とは言わなかった。
「手紙を見ましたが、私は、これ、これの通り肌艶は良いので、そなたの持ってきた、」
といった前に詩乃がもう一通の手紙を差し出す。
わかがそれを受け取り、中を読み、しばらく考えていたがしくしくと泣き始めた。
「更科尼様までもが私を醜いという。私は、醜いのだ」
詩乃は俯いて目を閉じた―面倒だ―。顔を上げ、意を決すると、
「失礼します」
そう言って若の手首を掴んだ。
「何をするか!」
あっけにとられて声が出ないわかの代わりに侍女が声を上げるのを手で制し、
「脈を図っています。静かに……。最近、胸が苦しかったり、気分が沈んだり、かと思うと少しのことで怒っていたり、そして、すぐに泣いたりとかしていませんか?」
「なぜ解る? 誰かから聞いたか?」
「……あなた様の体を見ればわかりますよ。泣いた後の瞼。気分が沈んでさみしいからか布団をしっかりと握りしめた後、かと思えばイライラして爪でひっかいたような畳の跡。誰かに聞かずとも、多少の医術の心得があれば気づきます」
詩乃の言葉にわかは布団と、畳を見た。
「ご提案です。あたしは旗本の方にお知り合いもいませんし、そこで働いている侍女たちとも知り合いはいません。ですからあたしと話しませんか。ただし、二人だけで。なんせ、侍女が居ると、あとで侍女がほかの侍女に話すかもしれませんから」
「まぁ失礼な、商売女の分際で、」
「おだまり……。私はお前を信じていますよ。誰からに言うようなことがないのも解っています。でも、お前が側に居ても、このどうしようもないものが改善されないのです」
「そうですよ。こういう時は、外の地蔵に吐き出すがごとく、何の縁もゆかりもないものにこそ吐き出すべきです。いかがですか?」
「ではそうする」
わかの言葉に、詩乃は頷くと、空蝉に指示をして布団で背宛を作りわかが寄りかかっていられるように掛布団を丸めさせた。
出ていく侍女に近づき、「あとで声を掛けます。それまではこの辺りに人は寄せ付けないように。信じてもらわなければ、助かりませんから」と耳打ちをした。
侍女は苦々しい顔をしながらもそれに従ったが、「何かあったら、打ち首じゃすまないから」と鼻息荒く立ち去って行った。
「いい側使いですね。あなたのことをよく思っている」
詩乃はそう言いながら、わかの側に座った。
空蝉の姿がすでにないのは、庭のどこかに身をひそめて隠れたのだろう。さすがの行動だ。と思いながら詩乃はぼんやりと庭を見た。
「何を話せば、」
わかが言うのを、詩乃は「話したいことを何でも」と黙った。
しばらく沈黙が続く。
秋の風が葉を動かし、葉を落としていく。
「暑かった」
わかがぼそっと言った。
「夏ですか? 夏は嫌いです」
詩乃が答えた。
「あたしも嫌い。あせもがひどくてね、もう……みっともなくて、でも、やめられなくて」
わかがはらはらと涙をこぼす。詩乃は手ぬぐいを差し出す。
「旦那様が側室を呼ばれたの。でもしようがないのよ。わたくしにも子供が居ますし、男の子。跡取りとして今旦那様と一緒に筒井様にお使いすべく見習いをしていますの。ですけど、わたくしたち、親の決めた相手ですの。旦那様には以前から通じている人がいたのですけど、私の家の、あれね―資産目的の政略結婚―だから、跡取りが成人するまでは。と思っていたのでしょう。息子が立派になりましたからね。もう我慢することもないのでしょうし、世間では愛人の一人や二人居ないと甲斐性というものがあるようですしね」
わかが深くため息をつく。
「みをこさんと言うの。とてもね、色気のある人なの。わたくしなんてただの女なのだと、思い知らされるような、そんな人」
わかは涙をぬぐい側にあった箱を手繰り寄せた。ふたを開ければ饅頭があった。
「そんな時、お友達がお土産に持ってきてくださいましたのよ。おいしくて、おいしくて、でも、食べれば食べるほど、みをこさんには到底勝てるはずもなくて。それを思い知らされるばかりで。更科尼様には食べることをやめろと言われて、もう会いたくないと言ってしまったのに、わたくし」
「……あの人はそんなことで気分を悪くするほど神経は細くないですよ。気になさらず」
詩乃が何の感情もなくそう言うと、わかは驚いたような顔をしたが、詩乃は首をすくめてまた庭を見つめた。
「わたくしね―、」
たっぷり二刻ほど話し、わかはすっきりしたような顔をし、話を終えたからと白湯を飲んで静かに眠った。
詩乃は静かに寝息を立てているわかの脈を図り頷く。
「落ち着いたようでよかった」
「奥様は?」
「……時間がかかる病気。としか言えないのだけどね。方法はいくつもあるのよ。早く治す方法も、でも、早ければいいというものではないのよ。なんせ、命にかかわることだから。最善の治療法は、食べ物以外、そしてご主人以外のものに興味を持たすこと。いきなり何かに興味を持てと言っても無理だから、調子が良ければ庭を散歩したり、出歩くのもいいけれど、買い物はしないこと。食べ物への執着が買い物に変わるだけで逆効果だから。食べ物と、ご主人以外のことに興味を持ち、大丈夫になれば、奥様の口から食べ物のことも、ご主人のことも、ごく普通の人と同じくらいに減る。空腹を感じれば何か食べたい。とか、急な雨にご主人が傘を持って行ったかとかそのくらいの会話に。よく考えて、奥様は一日中食べ物かご主人のことを口にしていない? この病の怖いところは、ずっと思い続ける。というところなのよ。母親が子供のことを思わないときはない。というけれど、それでも、子供が寺子屋に行っている間には自分の仕事のことを考えている。全く忘れることはないけれど、ずっと思い悩んでいるわけじゃない。だけど、この病は、ずっとずっと思い悩んでしまうこと。そしてそれが解消されないから、その憂さを食べ物によって消化しようとして、食べたり、人によっては買い物をしたり、博打を打ってしまう。奥様は食べ物でご主人への思いを緩和させようとしていたけれど、それは間違いなのよ。この病の直す方法は、そんなことを気にしているなんてばからしいわ。と自分が思えるようになること。そのためには、誰かに話すことが一番。誰かに話すという行為は、音を出すということ。音にすると、自分で言っていることを、耳で聞き、他人が言っているように錯覚して脳が理解する。そのうち、自分が話していることがだんだんと馬鹿らしく思えてくる。そうなるまでは、聞き手である人は何も言わない。ただ聞いてあげるだけ。忍耐と努力が必要なのだけど、できるかしら?」
「それはどのくらいの期間?」
「さぁ? 人それぞれだからね」
「早く、早く治すには?」
「……、おすすめはしない。壊れるからね。食べ物を取り上げ、縛り上げ、三度の食事以外は接触を断つ。……人間的回復は見込めない方法だけど、それならばすぐに、泣くことも、食べることもしなくなる。壊れるから」
詩乃の言葉に侍女の顔が青ざめる。
「話をすると疲れて、よく眠る。気持ちよく起きると、より頭がすっきりする。……ご主人が新しい側室を迎えられたことによって不安が広がったようだけど、それをご主人に言って、側室を追い払われても解決にはならない。逆に、自分のせいでまた(ご主人に)窮屈な思いをさせると、自分を責めるからね。ご主人のことに関してどちらとも良い解決方法が見いだせないのだから、何か興味を見つけるしかない。もともと奥様は何か好きなものはなかった?」
「お琴をなさいます」
「いいじゃない。琴をまた始められるよう、次の間にでも置いておけば、少し歩けるようになった時にそれを見つけて弾かれるかもよ」
「そう、なりますでしょうか?」
「そうなるように、あなたがしっかりと支えてくださいな。あたしがここに来れる頻度は限られてますからね」
侍女は大きく頷き、
「奥様付きの侍女頭、松野と言います」
と頭を下げた。
詩乃は口さみしいと言ったら、体を温める少し甘いお茶のつくり方や、話を聞くうえで絶対に言ってはいけない言葉などを伝授した。
秋の日暮れは極端に早くなった気がする。暮れ六つですでに薄暗い。
詩乃は空蝉の提灯の明かりの中帰る。
「いやぁ、すっかり寒い」
詩乃が身を縮めた時、頭巾姿の武士が前に立った。目だけしか開いていないがその目も見えないほどすっぽりと隠している。
「少し訪ねたい」
詩乃が身構え、空蝉が詩乃を護衛するように左手に提灯を持ち換えた。
「何をでしょう?」
「加納 翠殿は、橘 恭之介の何だ?」
「はい? 加納 翠様? ……恭之介……、あぁ、恭之介さま……翠さま。あぁ。あの二人なら婚約中だそうですよ」
「……そう、か。いや、怖がらせてすまなかった」
頭巾の男は踵を返して足早に立ち去った。立ち去ったっというか走り去ったに近いほど早かった。
「なんだ? なんか、いけないことを言ったような気もしなくもないのだが、」
「何でございましょうかね?」
「空蝉ぃ、お前、すぐに殺気を出すのやめた方がいいよ。あたしまで怖い」
空蝉が提灯を持ち換え、詩乃のほうを見てくしゃっと笑った。
―この男は、本当に怖いわぁ―
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