3rd

 今週から舞台に向けての稽古が始まり。スクール内には普通のように緊張が張り詰めていた。

 「サユリ!もっと声出して!」

 ここ数日、サユリへの怒号がやけに多かった。先生は能力を伸ばそうとアドバイスしているが、サユリ自身精神的に来ているらしかった。言葉に出さずとも顔に滲み出ていた。

 周りの皆はそれなりに出来ていて先生は何も言わないけどサユリに対して嫌味が溢れつつあった。それでも、自分は先生に頼まれた通り、サユリが悩んでいるときはバックアップに回った。

 だが、それでもサユリは自分を伸ばせずに苦しんでいた。


 あれから一週間もの月日が流れた。

 先生が前言っていたことは出来るようになったが、また新たな壁に当たっていた。

 「こういう風にしたらさ、感情が出やすいと思うけれど。」

 そうサユリに言ってもサユリの笑顔は見れることは無かった。

 なにか、サユリに軽くあしらわれている気がした。そう思うと、心まで距離を感じた。

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