第2話持ち物確認

数秒後、ようやく白い光が薄れてきて目を開けるといつの間にかツリーハウスのような小屋に移動していた。




「マジで異世界転生しちゃった訳ね、、、」


改めて普通に考えるとありえないような現実を見せられて軽く卒倒してしまいそうだった。




「起きたことはどうしようもないんだけどさ、」


半ば自嘲気味に呟いた。当面の問題はとにかく水や食料が無いとまず生きていくのが不可能になる。一応身に付けているものを確認した。




「いつの間に着替えさせたんだよ」


今着ているのは元々自分が着ていた部屋着ではなくRPG等に出てくる、いわゆるチェストプレートだった。冒険者の初期装備そのものだった。その次に、腰に着けている刀のような物を見た。




「何で防具より武器の方が強そうなんだよ」


この辺りにあの神様の性格が窺える。強い武器があれば何でもできるだろうという大雑把な見通しで用意したに違いない。その他には首から下がっている何か模様のある青い水晶のような首飾りだ。今まであえて触れなかったが、確認しないことにはなんの意味があるか分からないので一応確認する。見るからに某アニメ映画に出てくる道標なのだが、、、すると突然水晶が光りだした。


淡く光っていた青白い光は、突如ある一方に向かって伸びていった。




「やっぱこれ飛行s、、、」


「お~~っと、それ以上言っちゃいけないよ」


誰もが知っているその名称を口に出しかけた時、突然響いた神様の声にそれは掻き消された。




「それ以上言っちゃうとタブーに引っ掛かるから止めておこうか」


声はするが、姿が見えない神様から意味深な注意を受けた。声の出所を見ると、件の水晶からだった。




「これは指定した相手と念話をすることが出来る水晶だ。ボクのオリジナルであり、決して某アニメ映画のパクりではないよ。そこだけは絶対に覚えておいてくれ」


やたら言い訳がましい弁解を聞きながら、さっき聞きそびれたことを聞いてみた。




「神様、あんた名前はあんのか?」


「そういえば、言ってなかったね。ボクの名前はフキ。まぁ、気軽にそう呼んでよ♪」




フキ、ね。何か男ってより女の子みたいな名前な気が、、、ん?、ちょっとまてよ?




「なぁ、フキ」


「ん?なんだい?伊織君」


「神様にも性別ってあるのか?」


「むっ、なんだいその質問は。ボクが女の子に見えないってのかい?」


「は?マジで?女の子だったの?」


フキに言われて、その容姿を思い浮かべた。




中性的な整った顔に半袖のシャツにショートパンツ、確かに言われてみれば女の子の服装だった。




「いくらボクでもそこまでストレートに想像されると少し恥ずかしいんだけど、、」


少し顔を赤らめながらフキに言われ、慌てて思い浮かべるのを止めた。




「マジで女の子だったのかよ。一人称がボクだったからてっきり男だとばかり思ってた」


「まぁ、よく言われないでもないけど」


若干の気まずさを残しながら、ようやく本題にはいる。




「そういえば、この装備のことについて聞いていいか?」


「もちろん構わないよ。防具はよくあるやつだよ。なんの変哲もないただの鎧だ。武器についてはこだわらせて貰ったよ♪名前はフューガル。この剣自体に能力を付与している。能力は氷を操る事が出来る能力だ。アオ◯ジや日◯谷◯士郎を思い浮かべてもらえるとわかると思う。」




なんで神様なのにそのキャラ達を知ってんだよ。


心の中でそうつっこんだ。




それにしても氷を操る能力か、色々応用が効きそうだけど試してみないことには分からないか。




「あとは君自身にある程度の身体強化を施しておいた。まぁあまり強くしすぎても面白くないから微々たるものだけどね。後はRPGよろしくレベルを上げて強くなってくれ」




コイツ、、人をいきなり異世界転生させておいて面白くなくなりそうだからという理由で人任せとか...

よし決めた、とりあえず強くなって一発拳骨落としてやる。そう心に誓った。

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