エピローグ

 事務所へ帰るバス停へ向かって二人で歩いていた。

「ユキさん、安心するね」

「ストーカーじゃなくって良かった、ってな」

「ユウキちゃんは今日の学校帰りに寄るって言ってたよ」

「そうか」

「分かってみると、やっぱつまんないなぁ」

「だから、異世界への話は小説にしてみなよ」

「そんなの書いたって、誰も読んでくれないもん」

「俺が読むよ」


「あーっ!」

 突然、朋華が大きな声を出す。

「どうした!?」

「お腹減ったー」

「驚かすなよ。何か食べて帰るか?」

「うん。近くに行列ができる洋食屋さんがあるんだ」

 俺の腕を取り、引っ張っていく彼女の横顔はとてもうれしそうに見えた。




               ―了―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る